我が国では健康に健やかに人生が送れるようにと、「食育」が教育にも取り入れられています。しかし、どんなに体に良い食材を調理しても良く噛めないことには栄養にはなりません。現在、我が国は長寿大国として平均寿命は延びていますが、要介護人口の増加に直面しています。400万人とも500万人とも云われるこれらの方々の口腔ケア―に取り組み、口の機能を通じた体と心の健康に本学会は多大な貢献をなしてきました
しかしながら、訪問診療の現場では、診療、ケア、リハビリテーションにおいて、義歯の修理・調整や口腔衛生の確保などの短期的目標にばかり目が向き、咀嚼機能の維持管理、口腔衛生の維持、ターミナルデンティストリーとしての「看取りのケア」、栄養改善から口腔機能維持管理、経口摂取維持などの中長期的な目標への取り組みが十分になされている段階には達していません。
通院困難な患者さんの生活力を向上させるためには、訪問診療の中長期的な目標の設定と、それに向けた取り組みが必要になります。
例えば、なんとか自宅で暮らせる要介護状態の方の低栄養リスクを改善するためには、栄養サポートチームに歯科が関わるなど、在宅医療における歯科の領域を広げることが必要になります。これが引いては我が国の健康寿命を延ばすことにつながります。
これらのために、本学会の使命は大きいことを肝に銘じて、ご挨拶といたします。
昭和41年3月 東京歯科大学 歯学部 卒業
昭和46年5月 東京歯科大学 博士号授与(歯学博士)学位記番号271号
昭和46年4月 岩手医科大学歯学部長
昭和51年4月 岩手医科大学 歯学部口腔解剖学第一講座 教授
平成22年4月 岩手医科大学 名誉教授
平成22年4月 つくば歯科衛生士専門学校 校長