利用者向けの口腔ケア啓発策
実践!口腔ケアマニュアル
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前回は利用者の口腔健診を行い、治療の必要な方には、治療を勧め、その進捗を記録していくことについて説明しました。
今回の第三ステップは、良好な口腔状態を保つために日常的な口腔ケアを導入するための利用者向けの口腔ケア啓発の段階です。目的は、利用者ひとりひとりが、ブラッシングやうがい、入れ歯のお手入れ等、日常的な口腔ケアをできるだけ自分自身で行えるようにすることです。
施設のスタッフは日常の介護や介助等の業務だけで多忙きわまる状態です。そこでできるだけ手間をかけずに、利用者が口腔ケアに興味を持つようになり、できるだけご自身で口腔ケアに取り組むようになってもらう必要があります。施設のスタッフが介助するのは、一人では口腔ケアを行うことが困難な利用者だけ、となることを目指しましょう。そこで、簡単に導入できる3つの方法をご紹介します。
1つ目は、歯磨きをする洗面所に、口腔ケアについてのポスターを貼ること。特に施設で口腔健診を実施した後等は関心が高まっています。入れ歯の手入れの方法、歯ブラシの使い方等、大きなイラスト入りのポスターを貼るだけで利用者の意識に変化がでてくるでしょう。このポスターは1ヵ月に1回は新しいものに取り替えていくことが理想です。
2つ目は、利用者ご自身が行っている口腔ケアの状態を施設スタッフがよく観察すること。例えば、入れ歯を外したままにしている方はいないか、自分でブラッシングができない方はだれか、飲み込みに問題がある方はいないかなどを観察しましょう。
3つ目に行うことは、健診をしてもらった歯科医師や歯科衛生士に利用者向けの短いレクチャーをしてもらうことです。治療に訪問された際、15分程度、口腔ケアについての話をしてもらいます。この機会に、スタッフは気になった方の口腔ケアの方法などを歯科医師や歯科衛生士に教えてもらいましょう。
治療が終わって調子が良くなった患者さんがいれば、このレクチャーはさらに効果的になります。「○○さんの調子が良くなったことにお気づきですか」と問いかけたり、その患者さん自身にあお話をしてもらったりすることで周りへの影響は大きくなります。例えば前回の口腔健診は希望されなかった方なども、関心を持ってくれるようになります。
そして、これが最も重要なことですが、施設スタッフが口腔内の状態が良くなった利用者さんの変化に気付き、そこをほめてあげることです。
「利用者向けの口腔ケア啓発策」のまとめ
- 歯磨きをする洗面所に、口腔ケアについてのポスターを貼る
- 利用者が行っている口腔ケアを施設スタッフがよく観察する
- 健診をしてもらった歯科医師や歯科衛生士に、利用者向けの短いレクチャーをしてもらう
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