口腔ケアの考え方
実践!口腔ケアマニュアル
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口腔ケアとはいったい何をすることなのでしょうか? これは介護に携わっている方からの素朴な質問ですが、最も重要なことなので、今回は口腔ケアの基本的な考え方をお伝えしましょう。
要介護者に対する口腔ケアとは、一般に次の3つから構成されています。
- 口腔衛生(狭義の口腔ケア)
- 口腔機能の向上
- 口腔環境の維持・改善
口腔ケアを行う場合には、口腔の「衛生」、「機能」、「環境」のいずれかを対象に、どのような目的(改善、維持、確保等)を持って行うのかを明確にして取り組むことが必要だといわれています。
さらに、対象者の口腔ケア自立度(ほぼ自立、部分介助、全介助)により、介護者や医療従事者が介入する口腔ケアのレベルは異なってきます。
口腔ケア自立度が比較的高く、歯ブラシ等のセルフケアが一部可能な(ほぼ自立)の場合は、口腔ケアの介入は最小限にどどめて、歯間ブラシやデンタルフロス等の補助的な清掃道具を指導するといった、「衛生」を維持・改善する軽度な介入で十分です。麻痺等により歯ブラシをうまく握れない場合は、上記に加えて、柄の改造をするなどして自力清掃を支援するのも大切になります。認知症や記憶障害がある場合は、声掛けだけで口腔ケアが可能になる場合もあります。
口腔ケアの部分介助が必要な場合は、口腔衛生に対する中度の介入が必要になります。具体的には、対象者の口腔ケアの状態を確認し、不十分な部分があれば仕上げのブラッシングをするなどのようなことです。こうした方へは、さらに「機能」への介入が重要になります。口腔機能は、咀嚼機能、嚥下機能、発音機能の3つが大きな機能ですが、部分介助が必要な方への口腔ケア介入によって、直接的にこれらの口腔機能の向上につながるのです。
意識障害等によりって口腔機能が低下し、全介助が必要な方の場合は、高度の介入が必要になります。高度の介入は、まず「環境」の改善を行い、そのうえで「衛生」、「機能」の全介助を行います。
全介助による高度の介入の第一関門は口腔乾燥の有無です。口腔乾燥は、口腔機能の低下による唾液流出量の減少から、長時間の開口等により口腔状態が明らかに悪化したものまであります。常に開口状態の口腔乾燥の方に対する口腔清掃は、難しいものになります。まずは、常時の保湿状態という「環境」をつくり、その後に残存歯のブラッシング等によるケアや粘膜へのマッサージ等のケアへと進めていく必要があります。
「口腔ケアの考え方」のまとめ
- 要介護者に対する口腔ケアは、
1.口腔衛生
2.口腔機能の向上
3.口腔環境の維持・改善
の3つで構成されている
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