口腔ケア用品を口に入れると噛んでしまう人の口腔ケア
実践!口腔ケアマニュアル
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日本訪問歯科協会では、介護事業所の職員向けの勉強会を全国で開催しています。介護職の方が日々の業務のなかで困っているケースをあげてもらい、それに歯科医師や歯科衛生士が実習を通じて具体的な方法をレクチャーするよう進めています。
勉強会で、職員から多く質問を受けるものに、口腔ケアをしようとすると、すぐに噛んでしまう方への対応方法があります。
脳性まひや脳血管障害後の方は、脳のコントロールがきかずに、口腔ケア時に器具を噛んでしまうことがあります。また、脳に障害がない人でも、口を強制的に開けようとすると、反射的に閉じてしまうこともよくあります。
そんな方でも、口蓋粘膜に刺激を加えると反射的に口を開けることがあります。これを開閉口反射と言いますが、刺激の仕方にはコツが必要です。口腔ケア用品を口に入れるときには、刺激する場所や力の強さに注意して、相手の反応をよく観察することが重要です。
無理やり口をこじ開けようとすると、むし歯や歯周病の歯、差し歯やブリッジ等が折れたり抜けたりすることもありますから注意しましょう。
歯をくいしばる傾向のある方でも、くちびるをそっと開けることができれば、歯の表側を磨くことも可能です。歯の裏側のケアは難しですが、次のような方法で対応しましょう。
1.顔面・口腔のマッサージ
額や頬等、口腔以外のところをマッサージしながら、両側の咬筋(くいしばると力が入る筋肉)をほぐしていき、少しくちびるがゆるんてきたら、下あごを軽く押し下げるようにして口を開けます。
2.味つきフッ素入りペーストの使用
味の刺激で閉口反射をやわらげる効果もあります。
3.K-point刺激
左右どちらかの下あご奥歯のさらに奥の歯肉を押すと、開口反射を起こします。二人一組で行うとやりやすくなります。
4.開口器の使用
あまりお勧めはできませんが、どうしても必要な場合は、開口器を用いるという方法もあります。開口器には、専門的歯科治療ができる万能開口器とチューブタイプの2種類があります。チューブタイプは、つぶして上下の歯の隙間から入れ、ゆっくりと奥歯のほうへ移動させ、挿入した側の逆側から磨きます。その際に、前歯には開口器をかけないようにします。
こうした方法を用いる場合には、必ず事前に歯科医師の指導を受けてください。簡単な実習を受けるだけでトラブルや事故を未然に防ぐことができます。
「口腔ケア用品を口に入れると噛んでしまう人の口腔ケア」のまとめ
- 口腔ケア用品を入れると噛んでしまう人の歯の裏側のケアは、
1.顔面・口腔のマッサージ
2.味つきフッ素入りペーストの使用
3.K-point刺激
4.開口器の使用
で対応する
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