片まひのある方の口腔ケア
実践!口腔ケアマニュアル
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日本訪問歯科協会では、介護事業所の職員向けの講習会や勉強会を年間1000回以上開催しています。今回は、そのなかでも参加者からの質問の多い、脳血管障害の後遺症で体の片側にまひがある方の口腔ケアのポイントを紹介しましょう。
片まひの人は、嚥下障害、構音障害(ろれつが回らない)、失語症を伴うことが多くあります。そして、舌やほおの筋肉の動きや感覚が低下し、まひ側に食べかすが残っていても、気づかないこともあります。また、まひしている部分の感覚が鈍くなるだけではなく、まひ側の物が見えているのに認識できないこともあります(多くは左まひの場合)。そういう方がご自身で口腔ケアを行うためのヒントを説明します。
1.手鏡を使う
まひ側を鏡に映す、という簡単な方法で、まひした部分を意識することができます。たったこれだけで食事や口腔ケアがスムーズにできた、ということがあります。もちろん、鏡に映しただけではできない場合もあるので、その場合には介護者の方の声かけや手助けが必要になります。
2.水濡れ対策をする
なかには、ブクブクうがいをすることも難しく、試みても口から水が吹き出す方もいます。そのため、予め周りが濡れてもいいような工夫をしておきましょう。
3.歯ブラシの工夫
まひが軽い場合は、まひした手で歯ブラシを持って磨くとリハビリになります。ブラシの柄にスポンジを巻く、柄を曲げて使いやすい角度にする、割りばしを取りつけて柄を長くするなど、歯ブラシにひと工夫すると持ちやすくなります。
4.電動歯ブラシの検討
利き手にまひがある場合は歯ブラシをうまく使えません。そのようなときは、歯に当てるだけの電動歯ブラシの使用を検討しましょう。
5.口腔健診を定期的に受けてもらう
強い片まひが残ってしまった方は、まひ側のあごの骨が委縮し、入れ歯が合わなくなることがあります。さらに、入れ歯を押さえる筋肉が弱くなり、入れ歯が外れやすくなるので、義歯の状態や摂食嚥下機能等を総合的にチェックする口腔健診を定期的に受けるよう勧めてください。
口腔ケアに関して多くの介護職員は、自分が日頃行っていることが適切なものだろうかと不安に思っています。正しい知識と自信をもてるようになると、口腔ケアにも積極的に取り組めるようになります。
「片まひのある方の口腔ケア」のまとめ
- 片まひのある方の口腔ケアでは、
1.手鏡を使う
2.水漏れ対策をする
3.歯ブラシの工夫
4.電動歯ブラシの検討
5.口腔健診を定期的に受ける
がポイントになる
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