お口の機能を維持する
実践!口腔ケアマニュアル
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口には、「食べる」「話す」「呼吸する」という三大機能があります。手足の機能と同じ様に、口の機能も使わないとするすぐに低下してしまいます。もともと高齢になると、噛む力は若いころの半分程度になり、食べ物を胃に送り込むぜんどう運動も遅くなってきます。さらに機能低下を加速するのは、脳卒中による片麻痺や認知症による障害と、それがきっかけとなり、自分の口で噛んだり飲み込んだりする機能を使わないことでおこる廃用症候群によるものです。
では、口の機能の低下はどのようにすれば発見できるのでしょうか? それは主に食事を観察することで見つけられます。次に挙げるような方は、低下した口の機能の回復や機能低下を防ぐために、口のリハビリテーションを実施することが重要です。
- 食べ物をもぐもぐしている時間が長く、なかなか飲み込もうとしない
- 食べ物がほぼ原形をとどめた形で歯にべったりと付着している
- 食べこぼすことが多い
- 片側ばかりでかんでいて食べ物が片側のほおの内側に残りやすい
- よく舌やほおの内側、唇をかむ
- 水や汁物にむせやすい
- 食事中、声がかすれる
- 食事に時間がかかる
口に入れた食べ物は、まず舌がしなやかに動き、食べ物を奥歯の上にまで運びます。そして上下の歯の間で上手にすり潰せるように、食べ物をこぼさないように舌とほおが歯の両脇から支えている。ところが舌の動きやほおの動きがよくないと、歯があってもうまく咀嚼することができず、いつまでも口のなかでもぐもぐとしていることになります。
そこで、上手に咀嚼するためにも、舌やほおのストレッチ運動を行って、舌やほおの動きをしなやかにすることが大切です。これを食事の前の準備体操としてを行うと、誤嚥の予防にもつながります。パタカラ体操や口周りのマッサージ等が効果的です。
口腔ケアを定着させ実施するためのプログラムを紹介してきましたが、最も重要なのことは、利用者ごとの状態に合わせた目標の設定と、継続的な実施、測定です。
摂食機能向上の具体的なプログラムについては、厚生労働省の『口腔機能の向上マニュアル』を参照されるとよいでしょう。
さらに、くわしいことを知りたい方には、日本訪問歯科協会が監修した本『口腔ケアらくらく実践法』(創元社刊 1,440円)をお勧めします。この本には、口腔ケアから口腔リハビリ、そして食事の形態等が詳細に、わかりやすく書かれています。
「お口の機能を維持する」のまとめ
- 食事のときの様子を観察することで口の機能低下をいち早く発見する
- 舌やほおのストレッチ運動で、誤嚥を予防する
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