口腔ケアを定着させるために
実践!口腔ケアマニュアル
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「施設として口腔ケアに取り組みたいけど、具体的にどのように進めればよいかわかりません」という相談を受けることがあります。これまで数多くの施設の口腔ケア導入の取り組みを見てきましたが、成功する場合もあれば失敗している場合もありました。
成功と失敗をわけるポイントは、次の3つです。1つは、施設内で口腔ケアを推進する責任者を決めているか。2つ目は、その責任者の業務が明確に位置づけられているか。3つ目は、その業務がどういう段階を経て進めるのかが明確になっているか、です。
責任者を決めても、すでにいくつもの日々の業務を抱えており、そこに加えて口腔ケア推進の責任者も兼ねるとなると負担が大きくなりすぎてしまいます。しかも責任者が医療関係者でない場合、「自分の知識で大丈夫なのか? 不安ばかり」ということが多くあります。
こうした事態を避けるために、施設内の職務記述書のなかに口腔ケア推進責任者の業務を明確に記載しましょう。そして、外部の専門家、例えば歯科医師、歯科衛生士との連携事項を明確にします。さらに、その業務を施設のスタッフ全員に周知させます。
この段階が終わった時点で、口腔ケア推進責任者が口腔ケアの導入推進を図るのです。具体的には次の5つのステップを期限を定めて進めると成功しやすくすなります。
第一ステップは、施設スタッフ向けの口腔ケア勉強会です。協力歯科医師を講師として招き、利用者に対しなぜ口腔ケアが必要なのかをスタッフに理解してもらいます。
第二ステップは、協力歯科医による利用者向けの口腔健診です。口腔内に問題を抱えている方やリスクの高い方を特定します。そして、問題のある方は早期に治療を完了させます。
第三ステップは、利用者向けの口腔ケア啓発の段階。協力歯科の歯科衛生士により、具体的なブラッシングやうがい、入れ歯の手入れ方法等、日常的な口腔ケアの方法を利用者に説明してもらいます。
第四ステップは、利用者への口腔ケアの定着の段階。スタッフが利用者の口腔ケアの見守りや介助を適切に行える知識とスキルを習得し、利用者の状態に合った口腔ケアを定着させます。ここで重要なことは、定期的に口腔ケアを実施し、記録しておくことです。
最後の第五ステップは、摂食機能向上のために、利用者一人一人の目標を設定し、介護スタッフがともに取り組む段階です。具体的には食事の前のパタカラ体操や口周りのマッサージ等で、これらを定着させます。
「口腔ケアを定着させるために」のまとめ
- 施設内で口腔ケアを推進する責任者を決めているか?
- 責任者の業務が明確に位置づけられているか?
- 業務がどういう段階を経て進めるのかが明確になっているか?
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