訪問歯科を依頼する判断基準
実践!口腔ケアマニュアル
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看護や介護関係者から、「どのような場合に歯科医師に診てもらえばよいのか、その判断がつなかい」という話をよく耳にします。
介護を要する方の歯科疾患は、義歯の不適合、むし歯、歯周疾患や口腔乾燥症等、介護状態になった直後から1年以内がもっとも発生数が多くなります。それは、全身疾患発症から病院において救命措置が施されているとき、義歯は外され、口腔内の処置やケアは行われにくくなり、それが口腔内の形態変容を招くからです。
退院後、いままで使っていた入れ歯が合わなくなったり、服用している薬の副作用で口腔乾燥が激しくなるなど、口腔内の疾患のため、結果として食べることができなくなって体重が10㎏くらい減るのは珍しくありません。
在宅医療を受けている患者のうち、特に口腔機能に影響を及ぼす主な疾患は、脳血管障害、認知症、パーキンソン病等の神経難病、廃用症候群等です。
患者本人が口腔内の痛みや不具合を感じ、それを訴えることができれば、歯科の訪問診療を受けられます。問題なのは、脳の言語中枢障害により自分で口腔内の痛みや不具合に気づかなかったり、本人はわかっていても、それを伝えることができない患者さんの場合です。介護者が、「どのような場合に歯科医に依頼すればいいのか判断がつかない」というのは、こうしたケースが大半でしょう。
最近では、さまざまな居住系サービス事業所に在宅医療が入ってきていますが、施設利用者でも口腔内が清潔でない人が多くいます。また自宅で療養している人でも、介護者の手が回らないため、施設よりさらに悪い状態の方もいるようです。いずれも、言語障害がある患者のケースが多いようです。
こうした場合、アメリカの中間看護ホームでは、入所者の体重を定期的に記録することが義務付けられています。体重の変動は細かくモニターされ、体重に減少が認められた場合は「何をどれだけ食べたか」ということよりも、まずは「ものを食べられる口腔状態であるか」を一番に確認するようマニュアル化されています。すなわち、口から食べられるかどうかを確認するわけです。
しかし、こうしたことは歯科医師でないと判断がつきません。ですから、食事の量が減った、やせてきたと感じたら、介護者が患者の口腔内の観察をして歯科受診の必要性を判断しようとするよりも、まずは歯科医師による健診を依頼しましょう。最低でも年に1回は口腔健診を受ける必要があります。
「訪問歯科を依頼する判断基準」のまとめ
- 要介護者の歯科疾患は介護状態になった直後から1年以内がもっとも発生回数が多くなる
- 食事の量が減った、やせてきたと感じたら、歯科医師による健診を依頼すること
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