歯を抜けたままにした場合のリスク
実践!口腔ケアマニュアル
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高齢者のなかには、自分の歯が抜けてしまっても、「痛みがない」、「不都合に感じない」、 「治療にお金をかけたくない」等の理由で放置してしまう人が少なくありません。しかし、歯を抜けたままにすることは、次のように多くのリスクを抱えることになります。
●噛み合わせの変化
歯列にかかる力のバランスが崩れ、隣の歯が移動して抜けた歯の方向に傾いたり、ねじれたりして、噛み合わせに変化が起こります。
●あごへのダメージ
歯が移動して噛み合わせが狂うと、歯の周りの組織にダメージを与えて歯周病になりやくなります。また、あごの正常な動きに支障を来して、顎関節の病気を引き起こすこともあります。
●咀嚼の問題
歯が抜けたままだと、咀嚼の能率が悪くなるため、消化吸収にも悪影響を与えます。
●発音への影響
特に上あごの前歯がないと、空気が抜けて、サ行、タ行、ハ行、マ行の発音がしにくくなり、コミュニケーションに支障が出ます。
●見た目の変化
前歯、奥歯が抜けた状態で長く放置すると、顔貌にも変化が表れます。
●精神的な影響
歯がないことに劣等感をもち、精神的に悪影響が出ることがあります。
このほかに、歯が抜けたまま長い時間放置しておくことで、機能面等にさまざまなダメージが生じます。さらに、残っている歯がずれたり傾いたりすることで、治療時にもいろいろな不都合が生じることがあります。
例えば、ブリッジをかける場合、抜けた歯が少数のときは、隣接している歯を支台にして抜けた部分に人工歯を補うブリッジを行うことがあります。しかし、歯が傾いている場合は、その歯の神経を抜く必要が出てくるため、治療の範囲が広がってしまい、その分、時間も費用も多くかかってしまいます。
また、部分入れ歯を作る場合、傾いている歯に部分入れ歯のバネをかけることになるため、健康な歯にバネをかけるとき以上に大きな負担がかかり、歯の寿命を縮めてしまうことにもなります。
いずれにしても歯を抜けたままにしておくと、歯が傾き、手入れがしづらくなり、仮に治療をした後でも、歯間ブラシ、デンタルフロス等の道具を駆使して念入りな手入れをしないと、すぐに汚れがたまって不衛生になってしまい、それがむし歯の原因になります。抜けた歯をそのまま放置している期間が長ければ長いほど、面倒なことが多くなるのです。できるだけ早く歯科治療を受けましょう。
「歯を抜けたままにした場合のリスク」のまとめ
- 歯を抜けたままにしておくと、
●噛み合わせの変化
●あごへのダメージ
●咀嚼の問題
●発音への影響
●見た目の変化
●精神的な影響
などのリスクを抱えることになる
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