健康器具としての入れ歯
実践!口腔ケアマニュアル
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よく噛むことが、消化を促進する効果があることはよく知られています。それだけではなく、よく噛むことによって脳への血流が増え、脳の働きが活発になるという効果もあります。
認知症の高齢者の口のなかの状態を調べた調査では、重度の人ほど口のなかの状態が悪く、噛むことができない状態でした。また、歯が少ない人、入れ歯を持っているけど使っていないなど、噛むことに問題がある人には認知症が多いという結果も出ています。つまり、噛むことは健康に大きな影響を与えるのです。
日本の入れ歯人口は約1000万人とも言われています。そのうち、入れ歯が合わないと感じているのは、なんと半数以上。噛むために使うはずの入れ歯ですが、合わないものを使っていると大きな問題が起こります。
入れ歯が当たって痛いような場合は、食べられなくなります。食べるという楽しみが奪われてしまうのです。そして食べられなくなることで、エネルギーや栄養が不足し、体力や免疫力が低下してしまいます。こうなると、病気にかかりやすくなります。
さらには、合わない入れ歯を使い続けて、食べたり、話したりすることが苦痛になり、次第に口の機能を使わなくなってしまいます。口の機能は使わずにいると、確実に低下していきます。ひどくなると、噛む機能だけでなく、飲み込む機能まで失うこともあるのです。
逆に、しっかりと合った入れ歯を入れることで、噛んで食べられるようになり、若々しい顔貌を取り戻せます。さらに楽しく会話できることで脳が刺激され、血流も増加して細胞の老化も抑制できます。加えて、老人のひきこもりや認知症の予防にもつながります。
こんなに大切な入れ歯ですから、定期的な健診とメンテナンスも大切です。入れ歯は一度作れば一生涯、使い続けられるというものではありません。口のなかの状態は時間の経過とともに変化していくので、入れ歯もその都度、調整しなくてはならないのです。
特に自力では歯医者に行けない介護の必要な方ほど、定期的な口腔健診は必要です。こうした方は口のなかに違和感を感じていても、回りに迷惑をかけたくないという思いから、自分から歯医者にかかりたいとは言い出せないことが多いのです。
だからこそ、お世話をされている方は、年に1回の口腔健診を積極的に勧めていただきたいのです。治療や義歯の修理は、早期発見、早期対応が最も効果的で、費用も安く済みます。
「健康器具としての入れ歯」のまとめ
- 認知症が重度の人ほど口腔内の状態が悪いという調査が示すように、噛むことと健康は大きく関連する
- 口に合った入れ歯を使うことで、食事や会話が楽しくなり、若々しさや健康を保てる
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