歯周病と全身の病気
いまや「国民病」とも言われる歯周病。進行すると歯を失ってしまうことはよく知られていますが、その影響は口の中だけにとどまりません。歯周病の原因となる歯周病菌は、酸素を苦手とする嫌気性の細菌で、歯と歯のすき間や歯と歯肉のすき間の歯周ポケットなどで増殖します。
歯周病菌が増えると歯肉に炎症を起こすだけでなく、歯肉の奥に逃げ込むと血液中に入ってしまうこともあります。歯周病菌が血流に乗って全身をめぐると、動脈硬化を起こしやすくなります。心臓の動脈で動脈硬化が起こって血管が詰まればば、心筋梗塞などのリスクが15〜24%ほど高まると指摘されています。脳の血管が詰まれば脳梗塞のリスクも高まります。
また、歯周病は糖尿病の合併症の一つとも言われます。糖尿病の人は歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いというデータが報告され、歯周病があると血糖コントロールが悪くなることもわかっています。
さらに、歯周病菌などの雑菌を多く含む唾液が気管に入ってしまうことで、誤嚥性肺炎を起こすリスクも生じます。そうならないためにも、口腔ケアをしっかりと行いましょう。