とろみ食でも誤嚥が起こる?
飲み込む力が衰えてくると、食べ物が食道ではなく誤って気道に入ってしまう誤嚥を起こしやすくなります。最も誤嚥しやすいものが水や汁物で、嚥下機能が衰えていると、スプーン1杯の水でも溺れると言われるほどです。
そこで、誤嚥を防ぐ有効な方法として「とろみ付け」が多く用いられています。確かに、とろみがあると液体がまとまりやすくなるので、水分も飲み込みやすくなります。しかし、とろみをつければそれで安全というわけではありません。
とろみの濃度を高くしすぎるとかえって飲み込みにくくなったり、のどへの残留のリスクが大きくなったりします。
のどの筋力が衰えている人では、とろみの強いものをしっかりと飲み込むことができず、残留物としてのどに残ってしまうことがあります。これを「咽頭残留物」と言いますが、食後しばらくしてから、この咽頭残留物が気道に入って誤嚥を起こすことがあります。
一人ひとりの飲み込む力を考慮しながら、嚥下食のとろみ濃度を調整することが重要です。