口腔の粘膜免疫システム
「疫から免れる」と書くように、「免疫」の大きな役割は、体内に侵入するウイルスや細菌、がん細胞など、体にとって異物となるものから身を守ることです。口はこうした異物の侵入口でもあり、侵入を防ぐバリアでもあります。
近年の研究で、口腔のような粘膜組織には独自の免疫システムがあることがわかってきています。体内のリンパ球などの免疫細胞による免疫システム(全身系免疫)とは独立したシステムで、粘膜そのものが免疫組織であり、粘膜免疫システムと言われています。
しかし、せっかくの優れた口腔内の免疫システムも、口の中が汚れていてはその効果が十分に発揮できません。
65歳の高齢者を対象に、普通に歯磨きをしたグループと歯間ブラシなどを使って念入りに口腔ケアを行ったグループを比較した研究では、念入りケアのグループのほうがインフルエンザの罹患率が10分の1以下だったという報告があります。
さらに、別の研究では、1日2回以上歯磨きをする人は、1日1回の人に比べると、口の中や食道のがんになるリスクが3割低いことが報告されています。
免疫力アップやがん予防のためにも、口腔ケアをしっかり行いましょう。