施設基準と報酬

診療行為の中には、保険医療機関が一定の人員や設備を満たし、その旨を地方厚生局に届け出て初めて点数を算定できるものがあります。

この満たすべき人員や設備を施設基準といい、点数表とは別に厚生労働省告示が定められ、また細かい取扱いが通知で示されています。

ここでは、訪問診療に関連する施設基準について整理します。

1.歯科訪問診療を行う歯科診療所の形態

歯科訪問診療を行う歯科診療所が所定の施設基準届出を行う場合と行わない場合では、算定できる歯科訪問診療料や加算の種類が異なり、点数に大きな違いが出てきます。

歯科訪問診療を行う歯科診療所としての施設基準の届出を行わない場合

歯科訪問診療を行う歯科診療所としての施設基準の届出を行わない場合は、歯科訪問診療1(1,100点)・2(410点)・3(310点)・4(160点)・5(95点)は算定できません。

施設基準未届の場合は、歯科訪問診療料の注15に規定する歯科訪問診療料(歯訪診)の初診時(267点)・再診時(58点)を算定することになります。

歯訪診を算定する場合、歯科訪問診療1・2・3・4・5を算定した場合に比べ算定できる加算が限られます。

歯訪診を算定する場合の加算

加算できるもの 加算できないもの
・患家診療時間加算
・歯科診療特別対応加算1・2・3
・地域医療連携体制加算
・通信画像情報活用加算
・在宅医療DX情報活用加算
・緊急・夜間・深夜歯科訪問診療加算
・歯科訪問診療補助加算
・在宅歯科医療推進加算
・歯科訪問診療移行加算

歯科訪問診療を行う歯科診療所として施設基準の届出を行う場合

歯科訪問診療を行う医療機関として施設基準の届出を行うと、歯科訪問診療料は歯科訪問診療1(1,100点)・2(410点)・3(310点)・4(160点)・5(95点)を算定できます。

歯科訪問診療を行う歯科診療所として届出を行う施設基準は、届出の直近1か月の診療患者のうち、歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分未満か、9割5分以上かで異なります。

9割5分以上の場合
在宅医療専門の保険医療機関になります。在宅歯科医療専門の場合は、在宅療養支援歯科診療所の届出が必要です。

9割5分未満の場合
次のいずれかになります。

  • 歯科訪問診療料の注15に規定する基準を満たす歯科診療所
  • 在宅療養支援歯科診療所
直近1か月の
訪問患者の
割合
医療機関の形態 施設基準 算定できる
歯科訪問診療料
95%未満 歯科訪問診療料の注15に規定する基準を満たす歯科診療所 歯科訪問診療料の注15に規定する基準の施設基準 歯科訪問診療料1
1,100点
歯科訪問診療料2
410点 (287点)
歯科訪問診療料3
310点 (217点)
歯科訪問診療料4
160点 (96点)
歯科訪問診療料5
95点 (57点)
在宅療養支援歯科診療所 在宅療養支援歯科診療所1・2
95%以上 在宅歯科医療専門の
在宅療養支援歯科診療所
在宅歯科医療専門の
在宅療養支援歯科診療所1・2
問わない 未届 歯科訪問診療料 注15
(歯訪診)
初診時 267点
再診時  58点

2.歯科訪問診療を行う歯科診療所の届出

●歯科訪問診療料の注15に規定する基準を満たす歯科診療所

直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を提供した患者のうち、歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分未満の保険医療機関であることが要件です。

歯科訪問診療料の注15に規定する基準の施設基準の届出を行った場合
直近1か月の訪問患者の割合が95%未満の歯科診療所が歯科訪問診療料の注15に規定する基準の施設基準の届出を行うことで、歯科訪問診療1・2・3・4・5(1,100点/410点/310点/160点/95点)が算定できます。

●在宅療養支援歯科診療所(歯援診)

在宅療養支援歯科診療所とは、在宅又は社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援する歯科診療所です。

歯援診の届出を行うと、一般の歯科診療所より高い点数を算定できるものがいくつかあります。

また、在宅療養支援歯科診療所には「在宅療養支援歯科診療所1」と「在宅療養支援歯科診療所2」があり、いくつかの点数で歯援診1の方が歯援診2より高い方を算定できます。

在宅療養支援歯科診療所の点数

歯援診1 歯援診2 一般
歯科疾患在宅療養管理料 340点(月1回) 230点(月1回) 200点(月1回)
歯科訪問診療補助加算
(歯科訪問診療料)
115点・50点 90点・30点
歯科訪問診療移行加算
(歯科訪問診療料)
100点
通信画像情報活用加算
(歯科訪問診療料)
30点 なし
退院時共同指導料1 900点 500点
在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導
管理料に係る加算
145点 80点 なし
小児在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導
管理料に係る加算
145点 80点 なし

在宅療養支援歯科診療所1・2の施設基準
在宅療養支援歯科診療所1・2の施設基準を届け出るには、歯科訪問診療の実績が必要です。在宅療養支援歯科診療所1の方がより多くの実績を必要とします。

在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の基準

施設基準 在宅療養支援歯科診療所1 在宅療養支援歯科診療所2
歯科訪問診療料の算定実績 過去1年間の歯科訪問診療料1・2・3を合算した算定回数実績
18回以上 4回以上
常勤の歯科医師が修了すべき研修 ・高齢者の心身の特性(認知症に関する内容を含む)
・口腔機能の管理
・緊急時対応
歯科衛生士の配置 必要
文書提供 患者に対し、説明の上、文書で提供
(担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等)
後方支援医療機関との連携体制 必要
依頼による歯科訪問診療の算定実績 過去1年間に、次の医療機関・施設等からの依頼による歯科訪問診療の算定実績が5回以上
・在宅医療を担う他の保険医療機関
・保険薬局
・訪問看護ステーション
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所
・介護保険施設等
過去1年間に、次の医療機関・施設等からの依頼による歯科訪問診療の算定実績が3回以上
・在宅医療を担う他の保険医療機関
・保険薬局
・訪問看護ステーション
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所
・介護保険施設等
連携実績 次のいずれか1つに該当すること
・当該地域において、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議又は病院・介護保険施設等で実施される多職種連携に係る会議への年1回以上の出席
・過去1年間に、病院・介護保険施設等の職員への口腔管理に関する技術的助言や研修等の実施又は口腔管理への協力
・歯科訪問診療に関する他の歯科医療機関との連携実績が1回以上
 キクは歯援診1を届出る場合の要件であり歯援診2には該当しない
連携に関する算定実績 過去1年間に、次のいずれかの算定が1つ以上あること。
ア 在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料
イ 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料
ウ 退院時共同指導料1、在宅歯科医療連携加算1、在宅歯科医療連携加算2、小児在宅歯科医療連携加算1、小児在宅歯科医療連携加算2、在宅歯科医療情報連携加算、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料又は在宅患者緊急時等カンファレンス料
直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を行った患者のうち、歯科訪問診療を行った患者数の割合が9割5分以上の診療所のみ該当
ケは主として在宅歯科診療を実施する診療所が満たすべき追加要件
直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を行った患者のうち、歯科訪問診療を行った患者数の割合が9割5分以上の診療所にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
(イ) 過去1年間に、5か所以上の保険医療機関から初診患者の診療情報提供を受けていること。
(ロ) 直近3か月に当該診療所で行われた歯科訪問診療のうち、6割以上が歯科訪問診療1を算定していること。
(ハ) 在宅歯科医療に係る3年以上の経験を有する歯科医師が勤務していること。
(ニ) 歯科用ポータブルユニット、歯科用ポータブルバキューム及び歯科用ポータブルレントゲンを有していること。
(ホ) 過去1年間の診療実績が次のいずれにも該当すること。
 ①抜髄(I005)および感染根管処置(I006)の算定実績があわせて20回以上であること。
 ②抜歯手術(J000)の算定実績が20回以上であること。
 ③次の算定実績が併せて40回以上であること。ただしそれぞれの算定実績は5回以上であること。
 ・有床義歯(M018)
 ・有床義歯修理(M029)
 ・有床義歯内面適合法(M030)
報告 年に1回、歯科訪問診療の患者数等を別添2の様式18の2を用いて、地方厚生(支)局長に報告していること。

●在宅歯科医療専門の在宅療養支援歯科診療所

届出の直近1か月の診療患者のうち、歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分以上だと在宅歯科医療専門の在宅療養支援歯科診療所になります。届出記載事項が在宅療養支援歯科診療所1・2の施設基準よりもさらに多くなります。

3.訪問診療に関する申請・届出の確認

訪問診療に関連する申請・届出は、主に次の6つです。

  1. 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準(院内感染防止対策に関する施設基準)
  2. 口腔管理体制強化加算の施設基準に係る届出
  3. 在宅歯科医療推進加算の施設基準に係る届出
  4. 歯科訪問診療料の地域医療連携体制加算の施設基準に係る届出
  5. 在宅患者歯科治療時医療管理料の施設基準に係る届出
  6. 生活保護法及び中国残留邦人等支援法の指定申請
    1. 生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定医療機関指定申請
    2. 生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定介護機関指定申請

歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準(院内感染防止対策に関する施設基準)

歯科点数表の初診料の注1(歯初診 注1)の施設基準の届出を行っていない場合は、歯科訪問診療料1から5まで、注15又は注19に規定するそれぞれの所定の点数から10点を減算します。歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準は次の通りです。

  1. 口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な院内感染防止対策を講じていること。
  2. 感染症患者に対する歯科診療に対応する体制を確保していること。
  3. 歯科外来診療の院内感染防止対策に係る研修を4年に1回以上、定期的に受講している常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
  4. 職員を対象とした院内感染防止対策にかかる標準予防策等の院内研修等を実施していること。
  5. 当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示を行っていること。
  6. 5の掲示事項については、原則としてウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りでないこと。
  7. 年に1回、院内感染対策の実施状況等について、様式2の7により地方厚生(支)局長に報告していること。

口腔管理体制強化加算(口管強)の施設基準に係る届出

口腔管理体制強化加算の施設基準は、人員配置や訪問診療の算定実績だけではなく、外来診療の実績も求められます。

口腔管理体制強化加算の施設基準

(1) 人員配置 歯科医師が複数名配置されていること又は歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。
(2) 算定実績 次のいずれにも該当すること。
ア 過去1年間に歯周病安定期治療又は歯周病重症化予防治療をあわせて30回以上算定していること。
イ 過去1年間にエナメル質初期う蝕管理料又は根面う蝕管理料をあわせて12回以上算定していること。
ウ 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準を届け出ていること。
エ 在宅療養支援歯科診療所1又は2の施設基準に係る届出を行っていない診療所にあっては、歯科訪問診療料の注15に規定する届出を行っていること。
(3) 算定実績

過去1年間に歯科疾患管理料(口腔機能発達不全症又は口腔機能低下症の管理を行う場合に限る。)歯科衛生実地指導料の口腔機能指導加算、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料又は歯科口腔リハビリテーション料3をあわせて12回以上算定していること

(4) 歯科訪問診療の実績 次のいずれにも該当すること。
ア 過去1年間に歯科訪問診療1、歯科訪問診療2若しくは歯科訪問診療3の算定回数又は連携する在宅療養支援歯科診療所1、在宅療養支援歯科診療所2若しくは在宅療養支援歯科病院に依頼した歯科訪問診療の回数があわせて5回以上であること。
イ 連携する歯科訪問診療を行う別の医療機関や地域の在宅医療の相談窓口とあらかじめ協議し、歯科訪問診療に係る十分な体制が確保されていること。
(5) 他の保険医療機関との連携実績 過去1年間に診療情報提供料(Ⅰ)又は診療情報等連携共有料をあわせて5回以上算定している実績があること。
(6) 常勤の歯科医師が
修了すべき研修
当該医療機関に、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理(エナメル質初期う蝕管理、根面う蝕管理及び口腔機能の管理を含むものであること。)並びに 高齢者・小児の心身の特性及び緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること。なお、既に受講した研修が要件の一部を満たしている場合には、不足する要件を補足する研修を受講することでも差し支えない。
(7) 後方医療機関との
連携体制
診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の診療所にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りではない。
(8) 文書提供 当該診療所において歯科訪問診療を行う患者に対し、迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者又は家族に対して説明の上、文書により提供していること。
(9) 地域における
保険医療機関、
介護・福祉施設等との
連携実績
(6)に掲げる歯科医師が、以下の項目のうち、3つ以上に該当すること。
ア 過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績があること。
イ 地域ケア会議に年1回以上出席していること。
ウ 介護認定審査会の委員の経験を有すること。
エ 在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・診療所・介護保険施設等で実施される多職種連携に係る会議等に年1回以上出席していること。
オ 過去1年間に、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料を算定した実績があること。
カ 在宅医療又は介護に関する研修を受講していること。
キ 過去1年間に、退院時共同指導料1、在宅歯科医療連携加算1、在宅歯科医療連携加算2、小児在宅歯科医療連携加算1、小児在宅歯科医療連携加算2、在宅歯科医療情報連携加算、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料又は在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定した実績があること。
ク 認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講していること。
ケ 過去1年間に福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設又は介護老人保健施設における定期的な歯科検診に協力していること。
コ 自治体が実施する事業(ケに該当するものを除く。)に協力していること。
サ 学校歯科医等に就任していること。
シ 過去1年間に、歯科診療特別対応加算1、歯科診療特別対応加算2又は歯科診療特別対応加算3を算定した実績があること。
(10) 装置・器具の設置 歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に歯の切削や義歯の調整、歯冠補綴物の調整時等に飛散する細かな物質を吸引できる環境を確保していること。
(11) 患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
ア 自動体外式除細動器(AED)
イ 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
ウ 酸素供給装置
エ 血圧計
オ 救急蘇生セット
カ 歯科用吸引装置   
なお、自動体外式除細動器(AED)については保有していることがわかる院内掲示を行っていることが望ましい。
(12) 令和7年5月31日までの間、1の(2)のイ及びエ、(4)のア、(5)並びに(9)のオ及びシの規定の適用については、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」による改正前の規定による令和6年5月31日以前の各区分の算定回数及び改正後の規定による令和6年6月1日以降の各区分の算定回数を合計して差し支えない。

口腔管理体制強化加算の届出をしていると、いくつかの項目の点数が高くなったり、加算を算定できたりします。口腔管理体制強化加算の届出をしていない一般の歯科医院と比べ、次の点数が高くなります。

口腔管理体制強化加算の点数

口管強 一般
歯科訪問診療補助加算
(歯科訪問診療料)
115点・50点 90点・30点
歯科訪問診療移行加算
(歯科訪問診療料)
150点 100点
在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導
管理料に係る加算
75点 なし
小児在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導
管理料に係る加算
75点 なし
長期管理加算
(歯科疾患管理料)
120点 100点
小児口腔機能管理料 50点 なし
口腔機能管理料 50点 なし
歯周病安定期治療に係る加算 120点 なし
根面う蝕管理料 48点 なし
エナメル質初期う蝕管理料 48点 なし

在宅歯科医療推進加算の施設基準に係る届出

在宅歯科医療推進加算とは、在宅歯科医療を推進する観点から、歯科訪問診療のうち、在宅療養を行っている患者に対する訪問を中心に実施している歯科診療所を評価する点数で、歯科訪問診療料に係る加算です。

在宅歯科医療推進加算の算定には、施設基準の届出が必要です。在宅歯科医療推進加算に関する施設基準は次の通りです。

  1. 歯科を標榜する診療所である保険医療機関であること。
  2. 当該保険医療機関における歯科訪問診療の月平均延べ患者数が5人以上であり、そのうち6割以上が歯科訪問診療1を算定していること。
  3. 届出前3月間の月平均延べ患者数を用いること。

在宅歯科医療推進加算は、在宅において療養を行っている患者に対して歯科訪問診療を実施し、歯科訪問診療料1を算定した日に100点を加算します。

歯科訪問診療料の地域医療連携体制加算の施設基準に係る届出

地域医療連携体制加算は、歯科訪問診療が必要な通院困難な患者等が安心して在宅療養等が行えるよう、緊急時の迅速、適切な連携体制が整備されていること等を評価するものです。

複数の保険医療機関により夜間、休日及び診療を自ら行わない時間等における緊急時の歯科診療ができる連携体制が整備されているとともに、歯科訪問診療料を算定する患者の同意を得て当該患者の診療に必要な情報を他の保険医療機関の保険医等に提供及び共有すること等の体制が求められます。

地域医療連携体制加算の算定には、施設基準の届出が必要です。

  1. 歯科を標榜する診療所である保険医療機関であること。
  2. 当該保険医療機関において、次のアに該当する保険医療機関及びイに該当する保険医療機関との連携により、緊急時の歯科診療ができる連携体制を確保していること。

    ア 歯科点数表区分番号A000に掲げる初診料の注2の届出を行った地域歯科診療支援病院歯科である保険医療機関で次の要件を満たしていること。
    ①  緊急時に当該患者に対する歯科診療を行う体制を確保していること。
    ②  在宅歯科医療の調整担当者を1名以上配置していること。
    ③  患者に関する診療記録管理を行うにつき必要な体制が整備されていること

    イ 当該患者に対する歯科訪問診療を行う体制が整備されている保険医療機関であること。

  3. 当該連携保険医療機関において緊急時に円滑な対応ができるよう、あらかじめ患者又はその家族の同意を得て、その治療等に必要な情報を連携保険医療機関に対してあらかじめ別添2の様式21の2又はこれに準じた様式の文書をもって提供し、その写しを診療録に添付しておくこと。
  4. 地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等に連携保険医療機関の名称、住所、在宅歯科医療の調整担当者又は担当の歯科医師の氏名及び連絡方法等を記載した別添2の様式21の2及び様式21の3又はこれに準じた様式の文書を必ず交付することにより、地域医療連携体制の円滑な運営を図るものであること。

連携保険医療機関に関する情報を文書により提供し、かつ、当該患者又はその家族等の同意を得て、連携保険医療機関に対し診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る歯科診療に必要な情報を提供した場合に、1回に限り300点を加算します。

在宅患者歯科治療時医療管理料の施設基準に係る届出

在宅患者歯科治療時医療管理料を算定するには、施設基準の届出が必要です。

施設基準は、次の通りです。

  1. 当該療養を行うにつき、十分な経験を有する常勤の歯科医師、歯科衛生士等により、治療前、治療中及び治療後における 当該患者の全身状態を管理できる体制が整備されていること。
  2. 常勤の歯科医師が複数名配置されていること又は常勤の歯科医師及び常勤の歯科衛生士又は看護師がそれぞれ1名以上配置されていること。なお、非常勤の歯科衛生士又は看護師を2名以上組み合わせることにより、常勤歯科衛生士又は常勤看護師の勤務時間帯と同じ時間帯に歯科衛生士又は看護師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。
  3. 当該患者の全身状態の管理を行うにつき以下の十分な装置・器具等を有していること。
    ア 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
    イ 酸素供給装置
    ウ 救急蘇生セット
  4. 緊急時に円滑な対応ができるよう病院である別の保険医療機関との連携体制が整備されていること。
    ただし、病院である医科歯科併設の保険医療機関にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が整備されている場合は、この限りでない。

生活保護法及び中国残留邦人等支援法の指定申請

  1. 生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定医療機関指定申請
  2. 生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定介護機関指定申請

訪問診療の対象となる患者の中には、生活保護を受給している方も多くいます。要介護認定を受けている患者宅等に訪問診療に行き、管理指導を行った場合には、介護保険や介護扶助を算定します。生活保護の患者へ介護保険や介護扶助を使った診療を行うには、医院が上記の届出をしている必要があります。

4.施設基準に応じた評価の一覧

歯科訪問診療料の注15の歯科診療所の場合、在宅療養支援歯科診療所の場合、口腔管理体制強化加算の場合で、次の通り点数が異なります。

施設基準に応じた評価の一覧

歯科訪問診療料の
注15の歯科診療所
歯援診1 歯援診2 歯援病 口管強
歯科訪問診療補助加算
(歯科訪問診療料)
イ 同一建物居住者以外 90点
ロ 同一建物居住者  30点
イ 同一建物居住者以外 115点
ロ 同一建物居住者 50点
歯科訪問診療移行加算
(歯科訪問診療料)
100点 150点
通信画像情報活用加算
(歯科訪問診療料)
30点
 歯科疾患在宅療養管理料 200点 340点 230点 340点 200点
退院時共同指導料 500点 900点 900点 500点
在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導管理料の加算
145点 80点 145点 75点
小児在宅患者訪問口腔
リハビリテーション指導管理料の加算
145点 80点 145点 75点
歯周病安定期治療の加算 120点
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