歯科衛生士がいることで算定できる報酬

診療報酬の中には、歯科衛生士が関わる項目がいくつかあります。

ここでは、訪問診療で歯科衛生士がいることで算定できる報酬について整理します。

1.歯科訪問診療補助加算

歯科訪問診療補助加算は、歯科訪問診療料に係る加算です。

歯科衛生士が歯科医師と同行の上、歯科訪問診療の補助を行った場合に算定します。

算定する点数は、歯科医院が在宅療養支援歯科診療所、口腔管理体制強化加算または在宅療養支援歯科病院の場合か、もしくはそれ以外の場合かで異なります。

歯科医院が在宅療養支援歯科診療所、口腔管理体制強化加算または在宅療養支援歯科病院の場合で、同一建物居住者以外の場合(同一建物居住者お一人の場合)には115点、同一建物居住者の場合(同一建物居住者複数人の場合)には50点を算定します。

歯科医院が宅療養支援歯科診療所、口腔管理体制強化加算または在宅療養支援歯科病院以外の場合で、同一建物居住者以外の場合(同一建物居住者お一人の場合)には90点、同一建物居住者の場合(同一建物居住者複数人の場合)には30点を算定します。

歯科訪問診療補助加算は、歯科衛生士が歯科訪問診療料の時間を通じて歯科訪問診療の補助を行う必要があります。同じ歯科衛生士が訪問歯科衛生指導料を行っている時間と歯科訪問診療補助加算の時間が重複することは認められません。

歯科訪問診療補助加算<訪補助>

歯援診 口管強 歯援病 その他
点数 同一建物居住者以外の場合115点
同一建物居住者の場合50点
同一建物居住者以外の場合90点
同一建物居住者の場合30点
算定する場合 歯科訪問診療を実施する保険医療機関の歯科衛生士が、歯科医師と同行の上、歯科訪問診療の補助を行った場合
(歯科衛生士が歯科訪問診療の時間を通じて、歯科訪問診療の補助を行った場合)
算定 歯科訪問診療料を算定した日
医療事務 診療録に診療の補助を行った歯科衛生士の氏名を記載
注意点 同居する同一世帯の2人以上3人以下の患者に対して訪問診療を行った場合、「歯科訪問診療1」を算定した患者には、「同一建物居住者以外の場合」を算定し、「歯科訪問診療2」を算定した患者には「同一建物居住者の場合」を算定します。

2.通信画像情報活用加算

通信画像情報活用加算は、歯科訪問診療1・2・3又は歯訪診又は特歯訪診に加算します。
算定には、次のいずれかの施設基準の届出が必要です。

  • 地域歯科診療支援病院歯科初診料
  • 在宅療養支援歯科診療所1
  • 在宅療養支援歯科診療所2
  • 在宅療養支援歯科病院

当該保険医療機関の歯科衛生士等が、過去2月以内に訪問歯科衛生指導料を算定した患者が対象となります。

当該歯科衛生指導の実施時に当該保険医療機関の歯科医師が情報通信機器を用いて口腔内の状態等を観察したものに対して、歯科訪問診療を実施した場合に、患者1人につき月1回に限り、30 点を所定点数に加算します。

通信画像情報活用加算は、訪問歯科衛生指導料を算定する日(歯科訪問診療料を算定する日を除く。)において、歯科衛生士等がリアルタイムで口腔内ビデオ画像を撮影できる装置を用いて、患者の口腔内の状態等を撮影し、当該保険医療機関において、歯科医師がリアルタイムで当該口腔内ビデオ画像により当該患者の口腔内を観察し、得られた情報を次回の歯科訪問診療に活用した場合に算定します。

また、算定する場合には、歯科医師は、当該患者の観察の内容、観察を行った日等の要点を診療録に記載します。

3.訪問歯科衛生指導料

訪問歯科衛生指導料は、歯科訪問診療を行った歯科医師の指示に基づき、歯科衛生士、保健師、看護師または准看護師が訪問して療養上必要な指導として、次のものを20分以上行った場合に算定します。

  • 口腔内の清掃(機械的歯面清掃を含む。)
  • 有床義歯の清掃指導
  • 口腔機能の回復・維持に関する実地指導

算定する点数は、単一建物診療患者が1人の場合 362点、単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 326点、単一建物診療患者が10人以上の場合 295点です。

訪問歯科衛生指導料は、歯科医師による訪問診療の日から1月以内(患者の状態が安定していると判断される場合は2月以内)は、歯科衛生士の単独訪問で算定が可能です。

4.摂食機能療法

摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、診療計画書に基づき、医師、歯科医師もしくは医師または歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士が訓練指導を行った場合に算定します。

指導時間が30分以上の場合は185点、15分以上30分未満の場合には130点を算定します。
30分以上の場合は摂食機能障害を有する患者が対象です。
15分以上30分未満の場合は脳卒中の発症後14日以内の患者であって、摂食機能障害を有するものが対象です。

摂食機能療法

点数 30分以上の場合 15分以上30分未満の場合
185点 130点
対象患者 摂食機能障害を有する患者 脳卒中の患者であって、摂食機能障害を有するもの 脳卒中の患者であって、摂食機能障害を有するもの
算定回数・期間 1月に4回に限り算定する。ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者については、1日につき算定できる。 脳卒中の発症から14日以内に限り、1日につき算定できる。
記載事項 診療録に当該療法の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、療法の内容の要点等を記載する
併算定 治療開始日から起算して3月を超えた場合、摂食機能療法と歯科口腔リハビリテーションョン料1(2及び3に限る。)を合わせて月6回に限り算定する。

5.在宅等療養患者専門的口腔衛生処置

在宅等療養患者専門的口腔衛生処置は、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が専門的口腔清掃処置を行った場合に、月1回に限り130点を算定します。

対象となるのは、歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者です。

在宅等療養患者専門的口腔衛生処置

点数 1口腔につき 月1回 130点
対象患者 歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者
算定するケース 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が専門的口腔清掃処置を行った場合
患者の口腔の衛生状態にあわせて、口腔清掃用具等を用いて歯面、舌、口腔粘膜等の専門的な口腔清掃、義歯清掃又は機械的歯面清掃を行った場合
記載事項 主治の歯科医師は、歯科衛生士の氏名を診療録に記載
歯科衛生士は、業務に関する記録を作成
同日に算定できない点数 訪問歯科衛生指導料
同月に算定できない点数 機械的歯面清掃処置
非経口摂取患者口腔粘膜処置

6.歯科衛生士等居宅療養管理指導

歯科衛生士等居宅療養管理指導は、介護保険の項目です。

歯科医師と歯科衛生士が共同して管理計画を作成し、歯科衛生士等が利用者を訪問して実地指導を20分以上行った場合に月4回まで算定します。

算定する点数は、単一建物診療患者が1人の場合 362単位、単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 326単位、単一建物診療患者が10人以上の場合 295単位です。
歯科医師による訪問診療の日から3月以内は、歯科衛生士の単独訪問で算定が可能です。

Ⅰ:単一建物居住者1人に対して行う場合 362単位
Ⅱ:単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 326単位
Ⅲ:Ⅰ及びⅡ以外の場合 295単位
  • 歯科医師と歯科衛生士等が共同して管理指導計画を作成
  • 訪問診療を行った歯科医師の指示に基づき行われる
  • 歯科衛生士等が、利用者を訪問し、実地指導を1対1で20分以上行った場合に算定
  • 実施指導に係る情報提供及び指導助言を行い定期的に記録
  • 進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて計画の見直しを行う
  • 必要に応じて、社会生活面の課題にも目を向けた地域社会における様々な支援につながる情報を把握し、関連する情報を指示を行った歯科医師に提供するよう努める

※歯科衛生士が行う介護予防居宅療養管理指導も同じ

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