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- 2012.02
【社会福祉法人朝日会】(栃木県)には、「はりがや」「五代」「つるた」の 3つのデイサービスセンターがあり、それぞれに歯科衛生士が勤務し ています。日本訪問歯科協会と連携し、利用者様の『お口の健康相談 会』や、歯科衛生士向けの実践的な勉強会などに取り組んでいます。
歯科衛生士と共に利用者様のお口の健康づくりに取り組む
歯科医師に相談する機会は大切
デイサービスでの口腔ケアは、歯科衛生士にとって試行錯誤の面もあります。病院ならば新しい情報がどんどん入ってレベルアップしていけますが、施設ではそこのやり方で技術が定着しがちなのです。今回、歯科衛生士を対象とした勉強会を行ったことは技術向上のため、ひいては利用者様のために有意義でした。
また、利用者様は他人にお口の中を見られることには抵抗がありますが、歯医者さんにならば口を開けてくれます。『お口の健康相談会』で年1?2回、歯医者さんに相談できる機会を作ることはとても大切です。
相談会の後、訪問歯科診療を受けられた方もいます。ご家族の方からは、デイサービスに行ったときに歯医者さんがセンターで往診してくれたらいいのに、という声が多く聞かれます。現行の制度では難しいことですが、今後は検討が進められるべきではないかと実感しています。
(佐藤仁美さん) 勉強会で疑問・悩みも解決
最初の頃はデイサービスでの歯科衛生士の業務がよくわからず慣れないことも多かったのですが、とにかく夢中でやってきました。いろいろな勉強会に参加しましたが、日本訪問歯科協会の勉強会は、利用者様と接する中で日々私たちが悩んでいること、知りたいことがダイレクトに聞けたので、とても参考になりました。
口腔ケアの大切さは注目され始めていますが、実際にはまだ浸透していないように思います。みんなにもっと広く浸透していくように、私もがんばります。
(大貫さん) すぐに役立つ勉強会の内容
口腔ケアが大切でもご家族の方がご自宅でお口の中までケアすることは難しいのが現状。せめてデイサービスで口腔ケアを行うことが、利用者様のお口の状態や機能の改善につながればと思い、取り組んでいます。
歯科医師による勉強会は実践的で、「これは明日からすぐに使える!」という内容が多かったので、とても参考になりました。
口腔ケアの重要性をもっと知っていただくためにも、ご家族向け、他の介護スタッフ向け、ケアマネさん
向けなどいろいろな立場の人たちがそれぞれに聞ける勉強会ができるとよいですね。
(亀田さん) ご家族からの声を励みに
利用者様のための口腔ケアって何だろうと手探りで行っていたので、勉強会で不安を解消でき、自信をもって取り組めるようになりました。『お口の健康相談会』は利用者様がどんな反応をするのか、最初はこちらも身構えてしまいましたが、歯科衛生士だけでなく、ドクターの目でみていただけることは、やはり重要なことだと感じました。
口腔ケアは継続して習慣づけていくことが大切。その効果はなかなか気づいていただけないけれど、ご家族の方から「歯を磨くようになって口臭がなくなった」「ごはんが進むようになった」などの声をいただくと大きな励みになります。
(佐藤さん)
花粉症と口腔ケア春先に多くの人を悩ませている花粉症。若い人に多く、年と共に症状が緩和されるといわれていますが、最近は高齢者にも増えてきています。
通常、人は鼻で呼吸をしていますが、鼻水や鼻づまりで鼻呼吸をしづらくなると、口で呼吸しがちになります。口呼吸になると、乾いた空気や雑菌が口や肺に直接入り込むため、ドライマウスや歯周病などのお口のトラブルの原因になったり、免疫力の低下を引き起こしたりします。抗ヒスタミン剤などのアレルギー症状を和らげる薬の副作用で、口の中が乾燥しやすくなることもあります。
口呼吸で口の中が乾いて、唾液による自浄作用が低下すれば、歯周病やむし歯を引き起こしや
すくなります。
お口の乾燥を防ぐには、浸潤剤などが配合された洗口剤を舌や口に塗って湿らせるのが効果的です。また、鼻や口をすっきりさせようとガムや飴を口にする機会も増えますが、むし歯になりにくい商品を選ぶようにしたいもの。
花粉症の時期は、いつもよりもお口のケアを心がけましょう。
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