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- 2012.01
【デイサービスセンターとまとたかとり】(広島県)では、系列の【居宅介護支援事業所とまと】のケアマネージャーさんとも連携を図り、利用者様のお口の健康状態の向上に努めています。
歯科医、ケアマネ、デイサービスの連携でお口の健康を守る
実用的なお話から口腔ケアに興味をもっていただく
デイサービスセンターとまとたかとりでのお口のケアに関する取り組みは、歯科衛生士さんに来ていただいて、お口のしくみや歯磨きのやり方などのお話を利用者様にしていただくことから始まりました。
また、『お口の健康相談会』を行って、お口の健康状態もチェックしました。その結果から歯医者さんに治療に行かれた方や訪問歯科診療を受けられた方もいます。
その後も私たち看護師がお口の健康の大切さ、義歯の扱い方、歯ブラシの持ち方などのお話をする機会も作り、継続して口腔ケアに取り組んでいます。歯ブラシも持参していただき、今では多くの方が昼食後の歯磨きを行っています。
使いやすい歯ブラシの大きさや取り替え時期など、身近な話題から興味をもっていただきながら、口腔ケアの大切さを伝えられるように取り組んでいます。(南場さん) 訪問歯科診療で表情が明るくなった
歯医者さんは「行かなければいけない」というイメージがあるようで、家に来てくれることを知らない方はまだ多いと思います。うちの利用者様の中では、2名の方がケアマネさんからの紹介で訪問歯科診療を受けられています。
訪問歯科診療はゆめ歯科クリニックが行っていますが、先生が親身になって治療やお話をしてくださるので、利用者様に喜ばれています。2週間に一度自宅に来て、口腔ケアの指導や自宅での歯磨き方法なども教えてくれるので、先生が来るのを楽しみにしていたようです。治療を始めてからは表情も明るくなりました。
また、治療計画や実施内容は、訪問したその日のうちに、FAXとお電話で先生からケアマネさんにも報告がいくので安心です。さらに、ケアマネさんから私たちにも報告が来ますので、利用者様がいらしたときに統一した口腔ケアができ、とてもよい連携がとれています。(秀浦さん) 情報を共有してみんなで支援する
私がケアマネージャーとして担当している方々に、お口の状態についてアンケート形式でお話をお聞きしたことがあります。
すると、お口の中にちょっと痛いところはあるけれど、歯医者さんには階段や段差があって近所だけど行きにくいのでガマンしている、という方が多いことがわかりました。
ご家族に熱心な介護者がいる場合は、歯医者さんに連れて行ってもらうことなどができますが、一人暮らしの方や介護者が忙しい方の場合は、お口のケアがなかなかできず、状態が悪くなっているのが現状です。そこで、訪問歯科診療があることをお知らせするようにしています。
また、診療を受けた際には、利用されているデイサービスにも、今、どんな治療を受けているかの報告をします。介護保険というのは、保険外の社会支援も組み入れて、利用者様とご家族を支援していくものです。関わる人みんなで情報を共有することが大切だということを常に意識しています。(川本さん)
退院後の口腔ケア病気の治療法や退院時の状態によっては、お口に関係したさまざまなトラブルが生じることもあります。
放射線治療や化学療法によって味覚障害が起こったり、免疫力が低下することで口内炎ができやすくなったり、薬の服用でドライマウスが起こったりすることがあります。また、胃ろうで口から食べなくなると、唾液の飲み込みが悪くなり、誤嚥性肺炎が起こりやすくなることも。退院後には、主治医や歯医者さんと相談しながら、お口のトラブルを改善していく必要があります。
●味覚障害や唾液の減少によるドライマウスは、退院後数カ月から数年続くことがあります。お口の状態を回復させるためには、歯医者さんによる継続的なお口の管理が必要です。
●脳卒中の発症後、麻痺がなく自分で食べることができていても、夜間に唾液を誤嚥していることもあるので、専門家による口腔ケアの指導を受けましょう。
●胃ろう手術で自分のお口で食べていない場合でも、お口の中の汚れはつきますので、しっかり口腔ケアを行いましょう。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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