訪問歯科診療ニュース カムカム通信 歯から元気!「カムカム通信」は、訪問歯科診療の普及のために当協会が発行しているレポートです。介護事業所での口腔ケアへの取り組み事例をご紹介しています。

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  • 2011.10

COMECOME倶楽部

社会福祉法人双樹会【広島市城山・五日市観音地域包括支援センター】(広島県)では、健康維持と予防のためにも、お口のケアが大切だということを、地域の高齢者の方々に広く情報提供していきたいと考えています。

お口のケアの大切さを情報提供していきたい

お口のケアの大切さを情報提供していきたい

当センターでは、日本訪問歯科協会の歯科衛生士さんにご協力いただき、地域の高齢者の皆様に向けた、お口の健康と口腔ケアについての勉強会を行いました。

私たちスタッフにとっても参考になるお話をたくさん聞かせていただきましたが、一番印象に残っているのは歯ブラシの持ち方です。

ふだん、グーで握るような持ち方で歯磨きをされている方が多いと思いますが、正しくは鉛筆持ちがよいとのこと。握るように持ってしまうと力が入りすぎてしまうけど、鉛筆を持つように歯ブラシを持てば、ほどよく力の加減ができるそうです。なぜよいかというポイントをしっかり説明してくださったので、とても説得力がありました。

参加された方たちにも、「いろいろお話を聞いたけど、これだけはしっかり覚えて帰ってくださいね」と、私たちのほうからも声をかけさせてもらいました。

歯磨きはえんぴつ持ちで1本1本ていねいに 勉強会の後、私たち自身の歯磨きのやり方も意識が変わりました。

時間をかけて1本1本ていねいに磨くようになり、しっかり磨けていると実感できるようになったと思います。

歯ブラシのブラシの部分はあまり大きくないほうがよくて、ブラシの先のほうを使うと1本ずつ磨きやすくなることや、歯ブラシを買い換えるときのポイントなども教えていただきました。

確かに、大きめの歯ブラシをしっかり握って、一気にごしごし磨いている人が多かったようです。

このようなちょっとした気づきが、お口の健康につながっていくのだと思います。 お口のケアがさまざまな予防につながる 私たちのセンターでは、地域の高齢者の皆様が元気でおられるように、「予防」に力を入れていくことも重要な役割の一つだと考えています。

とくに大切なことは転倒の予防。足が思うように動かなくて転んでしまうことは、ご本人も一番に実感されることですが、多くの方は転倒予防とお口の健康が無関係だと思っているのではないでしょうか。けれども、お口でぐっと食いしばることができれば、転ばないように踏ん張ることができます。

また、お口が健康ならば、ご飯もしっかり食べられるし、おしゃべりもできる。おしゃべりが楽しくできれば、会話もはずむので、閉じこもりの予防にもなります。

皆さん、体力が衰えないように運動が大事だということはわかっていても、お口のケアはほとんど意識していなかったのではないでしょうか。

当センターでは老人会などに声をかけていただくことも多いので、そういう場を利用して、地域の高齢者の方にお口のケアが、お口の健康だけでなくいろいろな予防につながっているということを、情報提供していきたいと思います。

ワンポイントアドバイス 今日から始める。簡単お口のケア!

お口の中の細菌健康な人でも、歯や舌の表面や粘膜などに、数百万種類もの細菌がすんでいるといわれています。

生まれたばかりの赤ちゃんは、無菌状態の羊水の中で過ごしていたので、口の中も無菌状態です。しかし、いつしか母親や家族から赤ちゃんの口の中に細菌が移って定着します。歯が生えるようになると、むし歯の原因となるミュータンス連鎖球菌なども現れて、細菌の種類が増えていきます。母親がこの菌をたくさんもっていると、子どもにむし歯が発生しやすくなるという報告もあります。

また、細菌の種類は体調やホルモンの変化によっても変わるといわれています。
お口の中の細菌はだれもがもっているものであり、健康で正常にコントロールされていれば、異常に増えることはありません。

しかし、高カロリーでやわらかい食事が多い現代人は、昔の人に比べるとお口の中の細菌は増加傾向にあるといわれています。

さらに、お口の衛生状態がよくない高齢者では、若い人よりもたくさんの細菌がみつかるといわれています。そして、お口の細菌が誤嚥性肺炎の原因になることもあります。

お口の中の細菌を増やさないためにも、口腔ケアをしっかり行うことが大切です。

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