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- 2011.08
医療法人社団桐光会の【フロリール調布】(東京都)は、病院と 同じ建物の中に介護老人保健施設がある、医療とケアの併設 型施設。職員の歯科衛生士さんを中心に、徹底した口腔ケア体制づくりに力を入れています。
小さなことの積み重ねで口腔ケア体制を整える
施設でのサービスの中に口腔ケアを積極的に取り入れたい
数年前、私がこちらに勤務し始めた頃、口腔ケアは今ほど徹底されていませんでした。歯ブラシの消毒がきちんと行われていなかったり、入れ歯の紛失などの問題が起こったり……。ちょうどその頃歯科衛生士の関口さんが施設内での口腔ケアの体制づくりをしようとしていたところでしたので、私はその理想に少しでも近づけられればと思ってやってきました。
歯ブラシの滅菌器を導入し、収納場所を整備するなどハード面を整え、口腔ケア体操なども歯科衛生士だけでなく、職員みんなができるように働きかけました。嚥下のことも意識して、今では毎日、行っています。
また、日本訪問歯科協会からの働きかけで、『お口の健康相談会』も実施しています。半年間隔でこれまで2回の相談会を行いましたが、専門家の方に見ていただいた結果を踏まえて、職員の口腔ケアへの意識も高まってきています。
今、施設内のサービスの利用料の見直しを検討しているのですが、口腔機能加算の他に、日用品費の中でさらに口腔ケアを盛り込んでいけないかと考えています。それだけ、当施設では職員が口腔ケアを意識し、徹底的に行っているということ知っていただければと思っています。
ご家族の方が歯ブラシを用意しなかったらからできないということではなく、私たちの側からもっと積極的に取り組む体制をつくっていきたいですね(阿部さん)。 歯ブラシなどの衛生面は徹底的に気を配る
介護保険による口腔機能向上加算が始まる頃、スタッフとして歯科衛生士を探しているということで声がかかり、勤め始めました。
それまでは歯科医院に勤務していたので、私からすると施設での歯ブラシやコップのお手入れ、入れ歯の管理などはとても十分とは言えず、そのギャップに戸惑いました。
けれども、阿部副施設長にもご協力いただいたおかげで、今では見違えるほど状況がよくなりました。利用者様のご家族の方にも、歯ブラシをこんなにきれいに管理しているところはなかなかないと、胸を張って説明できます。
お口のことはどうしても後回しになりがちなので、お口で食べること、正しく飲み込むことの大切さ、そして口腔ケアの重要性は、ていねいに説明してわかってもらうようにしています。口腔ケアは小さなことの積み重ね。お家でも歯ブラシやコップが汚れていないか、そういうところから気を配って欲しいとお話しします。
私がここに来た当初、杉崎理事長から肺炎をなくしてほしい、と言われたのですが、小さなことの積み重ねを実践して、肺炎はかなり減りました(関口さん)。
歯みがき剤の成分歯みがき剤は、薬事法によって、一般的な歯磨き類(化粧品)と薬用歯磨き類(医薬部外品)の2つに分かれます。
歯みがき剤には次のような基本成分が含まれています。
・研磨剤…水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなど。歯の表面は傷つけずに、歯垢や汚れを落とす。
・湿潤剤…グリセリン、ソルビトールなど。歯みがき剤に適度な湿り気などを与える。
・発泡剤…ラウリル硫酸ナトリウムなど。口の中に歯みがき剤を広げ、汚れを洗浄する。
・粘結剤…カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど。粉と液体を結合させ、適度な粘りけを出す。
・香味料…メントール、ミント類など。香りや爽快感をつける。
・着色料…歯みがき剤に色をつける。
・保存料…パラベン酸、安息香酸ナトリウムなど。歯みがき剤の変質を防ぐ。
薬用歯磨き類にはこれらにプラスして、薬用効果のある成分が含まれます。
・フッ化物…むし歯予防や歯の再石灰化を促進する。
・デキストラナーゼ…歯垢を分解する酵素。
・トラネキサム酸…好炎症効果。
・塩化リゾチーム…消炎効果。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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