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- 2011.03
養護老人ホーム、訪問介護、デイサービスセンターなどを運営する【社会福祉法人亀甲会】(広島県)では、『お口の健康相談会』『訪問歯科診療』を通して、「歯医者さんが来てくれることのありがたさ」を実感しています。
歯医者さんが来てくれることのありがたさを実感
『お口の健康相談会』を開催していただきましたが、入所者様、利用者様の感想として一番多かったのは、「来てくれてありがたかった」ということ。そのひと言に尽きると言ってもいいかもしれません。
足腰の弱い高齢者は、移動をすることだけでも大変です。歯医者さんに行き、段差を越えてスリッパに履き替え、高い診察台に上がる、この動作ができない方もたくさんいます。
また、町の歯科医院には障害者用トイレがないところがほとんどで、車椅子やシルバーカー、歩行器では行きにくい場所の一つです。
でも、住みなれたところや勝手知ったる施設であれば、少々の段差があっても越えられるし、ご本人もリラックスできます。そういう場に、歯医者さんが来てくれるのは本当に助かります。
その後、訪問歯科診療を受けられた方もおられますが、その際にも「今、こういうことをやっています」「次はこういうことをします」と一つ一つの動作を説明しながら進め、最後に「今日の治療でもしかしたらこういう不具合が出るかもしれません」という情報もしっかり伝えてくれます。
専門用語を使わず、相手のペースに合わせてゆっくりお話ししてくださるので、みなさん、安心して治療を受けられたようでした。 口腔ケアで利用者様の表情が変わった! 高齢者の食べる力をつけるため、そして口臭による施設内のニオイを防ぐためにも口腔ケアが大切だということを、私は職員に伝えてきたつもりでいました。けれども、徹底して実践できていなかったと思います。
今回、『お口の健康相談会』で先生によってお口の中がきれいになっていく様子を目の当たりにして、口腔ケアの大切さを再認識しました。何より利用者様の表情が変わり、口元から若返ったのです。お口の状態がよくなったことで、しっかり食事ができるようになるのではないかという期待感もあります。
百聞は一見にしかず。口腔ケアの実践を見たことで、その大切さが職員全体にようやく浸透したように感じています。
歯を抜けたままにすることの問題点【2】歯が抜けたまま長い時間放置しておくと、機能面でさまざまなダメージがあります。それだけでなく、残っている歯がずれたり傾いたりすることで、いざ治療をしようと思ったときにいろいろな不都合が生じます。
●ブリッジをかける場合
抜けた歯が少数のときは、隣接している歯を支台にして抜けた部分に人工歯を補うブリッジを行うこともあります。しかし、歯が傾いている場合は、その歯の神経を抜く必要が出てくるので、治療の範囲が広がってしまいます。
●部分入れ歯の場合
傾いている歯に部分入れ歯のバネをかけることになるため、健康な歯にバネをかけるとき以上に大きな負担がかかり、歯の寿命を縮めてしまうこともあります。
いずれにしても歯が傾くとお手入れがしづらくなります。治療した後もしっかりケアをしないと汚れがたまって不衛生になり、むし歯の原因になりますので、歯ブラシのほか、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの道具も上手に取り入れて、念入りなお手入れを心がけてください。
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