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- 2011.02
【東太田リハビリ訪問看護ステーション】(横浜市)では、運動療法をメインにしたデイサービスを行っており、運動療法と口腔機能には大きな関連性があることを意識しています。
リハビリと口腔機能の向上には相乗効果がある
一般のデイサービスの多くは、お食事や1日を楽しく過ごすことに重点を置いていますが、「リハビリ訪問看護ステーション」である当施設は、お食事なども出していますが、メインはあくまでもリハビリ、運動療法です。
当施設には理学療法士や看護師など専門職のスタッフはたくさんいますが、歯科の専門家はいません。口腔ケアの大切さはわかっていても、歯科の専門職ではないので的確なアドバイスはなかなかできずにいました。
一見あまり関係ないようでいて、歯の噛み合わせなどお口の健康状態はリハビリの効果と大きく関わっています。そこで、日本訪問歯科協会の協力を得て、利用者様向けに『お口の健康相談会』を実施しました。
また、わざわざ歯医者さんに行くほどでもないけれど、気になっていたことを直接先生に聞くことができてよかったという声も聞かれました。「先生に治した方がよいと言われたから行ってきたよ」と、歯医者さんに行くきっかけになった方も何人かいらっしゃいます。
相談会を行ってから、お食事の後に自発的にうがいに行く方も多くなりました。先生から「ここの利用者様は歯がきれいですね」とお褒めの言葉をいただいたので、次回の相談会までによい状態を維持しようという意識づけにもなったようです。 リハビリは「体力と運動機能の貯金」最終目標は「元気に卒業」 「リハビリ」をひと言で説明するとしたら、「体力と運動機能の貯金」だと私は思っています。だから、ここは貯金をしに来る場所。利用者様が受け身ではなくなるべく自主的に動けるような流れを作り、貯金が貯まったら最終的には元気になって卒業していただくという気持ちで取り組んでいます。
運動療法を行う中で、口腔機能、特に噛み合わせがずれてくると、体のバランス訓練をしてもなかなかよくならないことがあります。そうしたことから、一流のアスリートの中には、歯の矯正をしている人も多く見られます。
『お口の健康相談会』で、お口の健康と総合的な身体機能には相乗効果があることを改めて実感することができ、スタッフにとってもよい勉強の場となりました。今後も定期的に実施していきたいと考えています。
歯を抜けたままにすることの問題点【1】高齢者では、歯が抜けてしまっても、「痛みがない」「不都合に感じない」「治療にお金をかけたくない」などの理由で放置してしまう人は少なくありません。けれども、歯を抜けたままにすることには、さまざまな問題点があります。
●噛み合わせの変化
歯列にかかる力のバランスが崩れ、隣の歯が移動して抜けた歯の方向に傾いたり、ねじれたりして、噛み合わせに変化が起こります。
●あごへのダメージ
歯が移動して噛み合わせが狂うと、歯の周りの組織にダメージを与えて歯周病になることも。また、あごの正常な動きに支障を来して、顎関節の病気を引き起こします。
●咀嚼の問題
歯が抜けたままだと、咀嚼の能率が悪くなるため、消化吸収にも影響を与えます。
●発音への影響
特に上あごの前歯がないと、空気が抜けて、サ行、タ行、ハ行、マ行の発音がしにくくなります。
●見た目の変化
前歯、奥歯が抜けた長く放置すると、顔貌にも変化が表れます。
●精神的な影響
歯がないことに劣等感をもち、精神的に悪影響が出ることもあります。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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