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- 2010.08
【社会福祉法人聖風会町屋在宅高齢者通所サービスセンター】 (東京都荒川区)で、今年1月に初めて行った『お口の健康相 談会』の評判は上々。勉強会なども合わせて、今後も定期的に行っていきたいと意欲的です。
お口を清潔にして残っている歯を大切にしていただきたい
デイサービスに取り組む中で、口腔ケアの大切さは常に感じていました。食事介助をしていると、お口の中が汚れている方がけっこういらっしゃることに気づきます。せっかく歯が残っているのに、日頃の口腔ケアをしっかり行っていないために、きちんと機能せずに歯が死んだような状態になっていることもよくあります。これはとてももったいないことです。
お口の中が清潔でないと口臭の原因にもなりますし、誤嚥性肺炎にも結びつきます。けれども、お口がきれいになればそういうトラブルも防げますし、食事もおいしく召し上がっていただくこともできます。
せめてここに来ているときだけでもしっかりと口腔ケアをしようと、昼食後のケアはずっと行ってきました。
担当してくださった歯科の先生はやさしくて、とてもていねいに対応してくださいました。利用者様一人ひとりの声に耳を傾けてじっくりと話を聞いてくださったのは、利用者様にとってはうれしいことだったようです。側で見ていたうちのナースも先生の対応に感心していました。
先生にお願いして自宅での訪問歯科診療を受けている方もいらっしゃいますが、「とてもいい先生だ!」という声が多く、利用者様からもスタッフからも評判がよいです。
10月にもう一度、『お口の健康相談会』を実施する予定です。前回よりも新規の利用者様も10名くらい増えていますし、また先生に来ていただけることを心待ちにしています。 利用者様向け勉強会で口腔ケアの意識付けを 今後はお口の健康相談会だけでなく、利用者様向けの簡単な勉強会などもできたらいいなと思っています。
以前、区役所の行事で歯科衛生士さんが利用者様の歯みがき指導に来てくれたことがありました。歯みがきをきちんとできている方は意外と少ないのですが、この指導の後は、利用者様の意識も変わりました。けれども、時間が経つとまただんだんと忘れてしまうので、定期的に歯みがき指導や情報提供の機会が作れたらよいですね。
そして、今後は口腔機能向上加算にも取り組む予定なので、スタッフ向けの勉強会もぜひ実施して、口腔ケアの知識や技術をもっと身につけていきたいと思います。
唇が切れやすい人のケア口腔ケアを行う際には、口を開けたり、器具を入れたりしますし、義歯の場合は着脱に口を大きく開ける必要があります。その時に、唇が切れやすいと出血や痛みから、だんだんケアが億劫になってしまうこともあります。
唇が切れやすい原因はさまざまですが、一般的に多い原因は唇の乾燥です。舐めてぬらすことで一時的に治まったように思えても、なかなかよくならずにかえって症状がひどくなることもあり、リップクリームやワセリンなどを塗ったほうが効果的です。
一番切れやすい部分は唇のはし(口角)で、発赤や潰瘍ができ、出血や痛みも伴う炎症性の口角炎もあります。この原因としては、細菌感染、よだれ、加齢による唇のしわの増加などの部分的な原因のほか、ビタミンB欠乏、糖尿病、鉄欠乏性貧血などの全身的な原因の場合もあり、その治療が必要になります。
また、総入れ歯が合っていないことで口角が常に湿った状態になって、亀裂や感染が起こりやすくなることもありますので、その場合は義歯の調節も大切です。
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