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- 2009.10
医療法人社団優祥会【大川内科医院リハビリセンター】(北海道岩見沢市)では、口腔ケアの情報が足りず知識が不確かだったと感じていました。そこで、介護職員向けの勉強会を開催したところ、確かな知識が身につき、説得力のある言葉で、口腔ケアの重要性を利用者様に伝えられるようになりました。
職員が知識を身につけ利用者様に正しく伝える
口腔ケアの大切さは私たちも知ってはいたのですが、聞きかじりの知識しかなかったので、介護職員が積極的に関わるところまでは至っていませんでした。昼食後、デイケアの利用者様に「食後は歯磨きしましょう」「必要だったらお手伝いしますよ」と声をかけてはいましたが、お手伝いというのも、歯ブラシを渡したり洗面所に誘導したりなどで、歯磨きは基本的には利用者様にお任せしていました。
そんなとき、日本訪問歯科協会の協力で、介護職員向けの勉強会を行いました。口腔ケアの重要性や実践的なケア方法などを、日本訪問歯科協会所属のハタテ歯科医院院長、旗手一永先生からいろいろと教えていただき、確かな知識が身についたことで、当センターでの口腔ケアの取り組みの姿勢は大きく変化しました。
昼食の後は利用者様全員が積極的に歯磨き 口腔内を健康に保つことで、身体機能(筋力の発揮)も向上することがわかりました。私たちは勉強会で身につけた知識を、利用者様にも積極的に伝えました。「入れ歯のお手入れ用のブラシがありますよ」「お口の中はバイ菌だらけなんですよ」「お口が汚れているといろいろな病気の原因になるんですって」と、歯磨きでお口の中をきれいにすることの大切さを、毎日、利用者様にお話ししました。
すると、最初のうちは頑なに歯磨きをしない方もいらっしゃいましたが、いつしか利用者様が積極的に食後の歯磨きをするようになりました。今では、全員の方が歯ブラシを持参していますし、義歯の方も何人かは義歯をはずして食後に歯磨きをしていて、昼食後の歯ブラシを拒む方はいらっしゃいません。昼食後の歯磨きは洗面所が混雑しますが、職員の誘導でスムーズに行えるようになりました。 歯磨きをすればお口の中がすっきり爽快 さらに、昨年と今年は、利用者様には『お口の健康相談』も行いました。ある方は、ブラッシングを指導してもらい、それまで歯ブラシの持ち方が悪くてあまりよく磨けなかったけれど、歯の裏側や奥まで磨けるようになってすごくよかったとお話してくれました。また、義歯の方は、義歯用ブラシを紹介してもらい使うようになったら、ぬるぬるした不快感がなくなり、お口の中がすっきりしていて気持ちがいいとおっしゃっていました。
勉強会で知識がついたことで職員の意識が変わり、利用者様に説得力のある言葉でお話しできるようになったことと、お口の健康相談も行ったことで利用者様の意識も変わり、当センターでの口腔ケアはとてもよい形になってきたとうれしく思います。
口腔ケアの介助のポイント寝たきりだったり、体に障害や麻痺があったりして、自分で口腔ケアが十分にできない方には、口腔ケアの介助が必要な場合があります。口腔ケアの介助の基本は他の介護と同じで、プライドを傷つけないようにさりげなくサポートします。
1.できることはなるべく本人が行う
本人ができることは、なるべく本人にやっていただきます。歯ブラシを持って手を動かすことは、リハビリにもつながります。
2.安全な口腔ケアを行う
水や唾液が気管支や肺に入らないような姿勢をとらせ、声をかけて意識をさますなど、誤嚥に注意して行います。
3.生活のリズムをつくる
朝起きたら、顔を洗って歯を磨くというように、口腔ケアを1日のリズムに組み込んで、高齢者の生活にメリハリをつけましょう。
4.無理強いはしない
体調や悪いときや嫌がるときは、無理強いは禁物。1日くらい磨かなくても問題ないとおおらかに構えることが長続きさせるコツ。
口腔ケアの介助は、高齢者がいちばん慣れている人が行うことが理想的です。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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