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- 2009.08
高齢者在宅サービスセンター【上井草ふれあいの家】(東京都杉並区)では、健康維持・増進のために、利用者様が自然に口腔ケアに取り組める意識付けができるようなサービスを目指しています。
健康で楽しく過ごすために口腔ケアは必要
私が日本訪問歯科協会と最初に出会ったのは、以前、練馬区の社会福祉施設に勤めていたときでした。
当時、口腔ケアに興味をもち、近隣の歯医者さんにお話を伺ったり、インターネットなどで調べたりして、情報を集めていました。けれども、「福祉の世界の中」での口腔ケアという、自分が思うような形をなかなか実現できずにいました。
そんなときに、日本訪問歯科協会の存在を知りました。こちらの協会は、介護保険にもついてよく理解していて、その中で口腔ケアの普及活動をしていたので、自分が求めていることに近い形でできるのではないかと思い、おつきあいが始まりました。
口腔ケアの勉強会や『お口の健康相談』を通してさまざまな知識を得ることができましたし、職員や利用者様の意識付けも変わっていったと思います。
通所サービスの中に、口腔ケアを少しずつ取り入れていきましたが、そもそも高齢者にとって何より大切なものは健康であり、健康でなければ通所にもいらしていただけませんし、楽しいこともできません。健康でいるためにも口腔ケアは必要ということから、口腔ケアの取り組みが自然にサービスに結びついていったように思います。 大規模施設での取り組みを模索中 そして、現在の職場である「上井草ふれあいの家」に移ってからも、介護保険に応じた新しいサービスを提案してくれるので、やりやすいという点で、日本訪問歯科協会とのつきあいは続いています。
ただし、当施設での口腔ケアの取り組みは、まだまだこれからです。ここは施設の規模も大きいので、以前の職場とは勝手が違い、私もどのように取り組んでいこうか、模索しているところです。
利用者様の人数が多ければ、当然その分、お一人一人の状態にもいろいろ違いがみられます。 『お口の健康相談』を行ったときにも、担当された歯科の先生には事前に、人数が多いので段取り通りにいかないこともあるし、ご迷惑をおかけするかもしれないとお伝えしました。実際、スムーズにいかないこともありましたが、先生が柔軟な対応をしてくださったことには感謝しています。
今後も口腔ケアに取り組んでいくにあたり、口腔衛生だけにこだわるのではなく、結果として口腔機能向上になり、利用者様の健康につながるような取り組みができるよう、日本訪問歯科協会にはアドバイスをいただければと思います。
また、職員側からの呼びかけだけではなく、健康維持・増進のため利用者様主導で自然に口腔ケアに取り組めるような意識付けができたらよいと考えています。
肺炎のチェックポイント肺炎は、1位/がん、2位/心疾患、3位/脳血管障害に次いで、日本人の死亡原因の4位に入る病気です。特に高齢者に多く、統計によると、肺炎の死亡率の割以上が65歳以上の人です。
風邪の合併症として起こることもあれば、口腔内の細菌が気づかないうちに肺に入って炎症を起こす誤嚥性肺炎や、ほとんど熱が出ない無熱性肺炎もあります。
高齢者の肺炎は、とてもおそろしい病気であり、発見が遅れると手遅れになるので、早期に治療することが大切です。特に寝たきりの人や嚥下障害がある人は、普段から次のような症状に注意を払うようにしてください。
☑いつもと変わった様子はないか。
☑顔の表情に生気はあるか。
☑顔色に変わりはないか。
☑寒そうな顔をしていないか。
☑せきやたんは出ていないか。
☑食欲はあるか。
☑微熱が続いていないか。
☑目の動きはどうか。
☑目につやはあるか。
☑息づかいは荒くないか。
☑呼吸の回数は多くないか。など
気になる症状があれば、早めに医師に連絡をしましょう。日頃から様子をしっかりと見守って、予防を心がけてください。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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