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- 2009.06
『ヒューマンライフケア 八尾の湯』(大阪府)では、デイサービスの食事の前などに、「お口の体操」を上手に取り入れ、レクリエーションとして楽しみつつ、体操の効果で、食事をおいしく食べていただけるような工夫を取り入れています。
お口の体操を楽しみ、食事をおいしくいただく
私たち、【ヒューマンライフケア 八尾の湯】では、定期的に『お口の健康相談』を実施しています。
『お口の健康相談』を受けられた方の中には、その後に訪問歯科診療を依頼される方が、けっこういらっしゃいます。歯医者さんに行きたくても行かれなかったけれど、ここで歯医者さんも往診してくれるという朗報を得て、みなさん、喜んでくださっているようです。
うちでは、口腔機能向上加算は特にやっていないのですが、『お口の健康相談』の結果は、利用者様のご家族とケアマネージャーさんにも報告しています。そういう点では、しっかりと連携は取れていますし、きちんと取り組んでいると信頼していただけているのではないかと思っています。
それまでは、口腔ケアやお口の体操などの知識をもっているスタッフがあまりいなかったので、本格的に取り入れていませんでした。けれども、体操をすることによって、食事もおいしくいただけるし、お口のケアもできるということを、勉強会で教えていただきました。
今では、昼食前にパタカラ体操や、お口のストレッチなどはしっかりやっています。むせ込みが激しい方がいらしたのですが、体操を続けることでかなり改善されてきたように思います。食後には、ブラッシングの誘導や、入れ歯のお手入れなどの誘導も行うようになりました。 もっと体操のバリエーションを広げたい お口を動かしていただくということは、これまでも意識してやってきました。特に取り入れていたのは歌で、すごろくなどのゲームをして負けた人が罰ゲームで歌を歌ったり、合唱団をつくっていて、毎日10?15分くらい歌ったりしています。特に、帰り際に歌って、気分良くお口を動かして帰っていただくようにしています。
高齢の方は、夕方4時過ぎにここを出て、5時くらいにはご自宅で夕飯という方もいらっしゃるので、帰り際の歌でお口を動かし、夕飯をおいしく食べていただくということも意識しています。
昼食前のお口の体操も、初めのうちは参加されない方がいらしたのですが、今では食事の前にみんなで笑って体操して楽しんだ後に、おいしく食事を取るという流れが定着しつつあります。
ただ、体操がワンパターンになりがちなので、もっといろいろなバリエーションでできたらいいと思っています。
8020運動って何?日本人の平均寿命は、男性が79・19歳、女性が85・99歳で、日本は世界有数の長寿国です。
しかし、平均寿命は長くなっても、歯の寿命はそれに追いついていません。
成人の歯の数は、親知らずを含めると全部で32本ですが、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、40歳代を境に減り始め、60歳代で20本、80歳ではわずか8・21本にまで減ってしまいます。
そこで、80歳で20本の歯を保とうという「8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動」が、平成元年に、厚生省(現・厚生労働省)、日本歯科医師会などによって
提唱されました。
なぜ、20本かというと、自分の歯が20本あれば、ほとんどの食べ物をかみ砕くことができ、食事をおいしくたべることができるからです。そして、食べる楽しみは生きる意欲にもつながります。
歯が失われてしまう原因の多くは、むし歯や歯周病です。最近では、若い人の歯周病が増え、20大ですでに70%の人がかかっているとも言われています。
言うまでもなく、人の永久歯は抜けてしまったら、もう二度と生えてきません。歯を少しでも長持ちさせるために、正しい口腔ケアの習慣を、しっかり身につけましょう 。
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