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- 2009.04
日向市社会福祉協議会財光寺デイサービスセンター川路の里(宮崎県)では、『お口の健康相談』実施後の利用者様の変化を感じ、口腔ケアの大切さを多くの利用者様に知っていただきたいと考えています。
お口の健康の大切さをもっと利用者様にも知っていただきたい
私たち財光寺デイサービスセンター川路の里では、2月に利用者様向けに『お口の健康相談』を実施しました。利用者様の中には「お口の中を見せたくない」という方もいらして、今回の参加者は半数程度でしたが、利用者様にとっても、センターにとっても、ひじょうによかったと思っています。
まだお若い利用者様で、歯が抜けいる方がいらっしゃいました。ご本人はあまり気にされていない様子でしたが、『お口の健康相談』で先生から説明を受けて関心をもち、すぐに治療を始めて、とてもよい表情でデイサービスにいらっしゃいました。
また、センターとしても、お口の健康、衛生の大切さを再認識することができました。後日、改めて先生にお時間をいただき、スタッフ向けの口腔ケアの勉強会も行いました。歯の磨き方やいろいろな口腔ケアグッズなども教えていただき、とても参考になりました。
デイサービスの中でも、「入れ歯をきれいにしておかないと、大変なことになりますよ」「ごはんをおいしく食べることが健康の秘訣ですよ」などとお話をしながら、少しずつ口腔ケアの指導を取り入れています。
『お口の健康相談』のとき、先生から訪問歯科診療の説明が少しありましたが、歯科の往診というものが利用者様にはあまりピンと来なかったようです。「お金がかかるんじゃないか。高いんじゃないか」というイメージがあったり、「自宅に来る」ということに抵抗があったりする方もいらっしゃいます。
デイサービスの利用者様の中には、車いすの方や一人暮らしの方もいて、歯医者さんに行きたくても行けない方もいらっしゃいますので、訪問歯科診療の正しい情報が伝われば、ニーズはもっとあると思います。 もっとお口の健康に興味をもっていただくために 後の課題としては、前回参加しなかった方々に、お口の健康について興味をもっていただくにはどうしたらよいかということです。
前回、参加された利用者様の反応からも感じるのですが、歯医者さんに今のお口の状態をみていただけば、世界が変わると思うのです。「お口を見せたくない」という方は、長い間、歯医者さんにも行っていないので、何らかのお口のトラブルを抱えている可能性は大きいと考えられます。
そこで、『お口の健康相談』に前回参加して、積極的に治療を始められた利用者様に、体験談をお話ししていただいたらどうかと考えています。「こんなに変わってくるよ」という生の声を聞けば、興味をもっていただけるのではないかと期待しています。
今後も、希望者があればお声がけをして、『お口の健康相談』を定期的に行っていけたらよいと思っています。
入れ歯の不具合の原因入れ歯が口の中でしっくりこない、痛みを感じるといった場合には、主に次のような原因が考えられます。
●歯茎と入れ歯が密着していない
歯を失うと、土手と呼ばれる歯茎がやせて、でこぼこになることがあります。でこぼこがあるとすき間ができて入れ歯が密着しにくくなり、特定の部分にばかり力がかかって、入れ歯が当たりやすくなることがあります。
●噛み合わせるときのバランスのずれ
食べ物を噛むときには力がかかり、入れ歯で歯茎がぐいっと押されます。歯茎に均一に力がかかっていればよいのですが、バランスがずれると、力がかかっている部分に噛むたびに痛みを感じます。
●老化によるお口の状態の変化
歯茎がやせて粘膜が薄くなると、クッション効果が少なくなるために、入れ歯が直接当たりやすくなります。
また、老化によって唾液の分泌が減ると、口の中の潤いが少なくなって、粘膜が傷つきやすくなります。
痛みがずっと続く場合はがまんしないで、歯医者さんに相談しましょう。
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