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- 2008.08
自宅にいる雰囲気で安心して生活していただきたい、というコン セプトの少人数制有料老人ホーム、『まごのて宅老所1号店』(盛 岡市)では、「お口の健康相談」の実施によって、口腔ケアの大切さ を認識し、新たな気持ちで取り組んでいます。
「お口の健康相談」はまるでレクの一環のように盛り上がりました。
私たち「まごのて宅老所1号店」は有料老人ホームで、現在13名の入所者の方々に主に訪問介護サービスを提供しています。
これまで、お口のケアに関しては、ご本人の介護度に合わせて、歯磨きをするように声かけをしたり、スタッフがお手伝いしたりしながら、食後のうがいや歯みがきなど通常のことはやってきました。けれども、正直なところ、「口腔ケア」という特別な意識をもって取り組んでいたわけではありませんでした。
また、ときどき、入所者様から入れ歯がうまく咬み合わないなどの不具合を聞くこともありましたが、私たち職員だけではうまくその相談に応えてあげることができませんでした。
そこで、口腔ケアの知識をもっとしっかり学び、大切さをきちんと認識する必要があると思い、日本訪問歯科協会の協力を得て、「お口の健康相談」を行いました。
通常、お口の中の痛みやトラブルでもない限り歯医者に行くことはあまりありませんし、いくら家族といっても人の口の中をのぞくことはほとんどないと思います。
お口の中がどんな状態になっているのか、もう何年も把握できていない状態なので、この機会にきちんとみてもらいたいというご家族の方も多く、「お口の健康相談」に賛同していただきました。 ”口腔ケアみたいなもの” からきちんとした口腔ケアへ 「お口の健康相談」を実施したことで、新しい発見がたくさんありました。今までは、うがいや歯みがきを行っていても、なぜするのか、なぜ大切なのか、その重要性をよく理解しないまま、軛口腔ケアみたいなもの軋をしていたにすぎなかったように思います。
それが、口の中の汚れによって食欲が低下することもあれば、全身の健康状態に影響を及ぼすこともあるなど、歯科の先生からの説明を受け、職員も入居者の皆さんも、口腔ケアの大切さ、必要性を改めて認識しました。
そして、歯に挟まったちょっとした食べかすが、むせや誤嚥の原因になることも知り、今まで以上に一生懸命に口腔ケアに取り組んでいます。
これからも、日々の口腔ケアはもちろんのこと、「お口の健康相談」も定期的に続けていきたいと思っています。
食べる楽しみ生きる意欲(2)高齢者の食事では、「おいしく食べる」ということと同時に「安全に食べる」ということにも気を配る必要があります。
誤嚥を防いで安全に食べるためには、姿勢がとても大切です。食べ物をしっかり飲み込んで食道に送るためには、首の角度が重要です。
正しい食事の姿勢上半身を起こして背中を少し丸め、やや首を前屈させます。この姿勢ならば、ごっくんと飲み込んだどきに、のどが自然に上下に動きます。
危険な食事の姿勢リクライニングで上体が反り返った姿勢や、介護者が上から介助する姿勢は、首が伸びているのでうまく飲み込めません。気管も開きっぱなしになるために、食べ物が流れ込んで窒息する危険もあるので気をつけましょう。
*また、おいしく食べるためには、お口の中が健康であることがとても重要です。老化が進むにしたがって、噛む力や飲み込む力は衰えてきます。お口の健康をいつまでも長く維持するためには、口腔ケアが欠かせません。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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