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- 2005.10
高齢者に、趣味生きがい活動、レクリエーション、体操、生活相談、健 康増進などのプログラムを提供している株式会社やさしい手(本社 /東京都目黒区)・すぎなみ天沼デイサービスセンターでは、定期的 な歯科検診を通じて、口腔ケアの重要性を広く伝えています。
介護保険法の改正を控え口腔ケアのさらなる充実を
当施設ではデイサービスの利用者様を対象に年1回、歯科検診を行っていますが、検診を導入する前に、口腔ケアの大切さを知っていただこうと、歯科医師による利用者様向けの勉強会を開きました。
勉強会では口腔ケアの重要性や、正しいブラッシング方法や入れ歯のときのうがいの仕方なども教えていただきました。専門家の方から、歯の大切さの説明を聞き、できる限り自分の歯でおいしいものをしっかりと味わいながら食べたい、そのためにも口腔ケアをしっかりやらなければと、皆さんの意識も変わったようです。
勉強会の後も、半年に1回くらいは配布物の中で口腔ケアについて触れるなど、ケアの重要性などを忘れないように心がけています 。
ご本人も介護するご家族も日常生活の中でお口のことはあまり意識されていなかったようですが、検診をしてみると、むし歯や入れ歯が合わないなど、お口の悩みを抱えていた方もかなりいらっしゃいました。
検診は利用者様にもご家族にもとても好評でした。そして、最初の検診の後、5?6名の方が訪問歯科診療を受けることになりました。訪問診療をご存じない方もいらっしゃいましたので、こうしたサービスの存在を知っていただけただけでも、検診は意味のあることだと思います。
ご本人はお口の悩みから解放されるし、ご家族の方も歯医者さんに連れていく負担がなくなると、訪問歯科診療も皆さんとても喜んでくださっているようです。中には、「先生が自宅に来ると気をつかってしまう。お茶菓子とか用意したほうがよいのかしら」と私どもに相談してきた方がいらっしゃいましたが、気をつかわなくて大丈夫ですよ、とお話ししました。 勉強会によって職員の意識も変化 当施設でもできることから口腔ケアを実践していきたいと考えています。
普段から、デイサービスに来ていただいたら、まず衛生面から、うがいと手洗いを励行しています。また、体操の一環としてですが、食事の前には発声練習や舌を上下左右に動かす運動などを行うこともあります。
それから、昼食の後には、うがいやブラッシングなどの時間を設けています。利用者様の状態によってケアの仕方は異なりますが、職員も声がけをしたり、必要であれば介助したりしながら、基本的には全員に口腔ケアをしていただいています。
中には「面倒だからいやだ」という方もいて、以前は私たちも強要するのもどうかと思っていました。しかし、口腔ケアの勉強会を行ってから、利用者の皆さんも自発的にやってくださるようになったし、私たち職員の意識も変わり、積極的に声がけをするようになりました。
2006年の介護保険法の改正で、介護予防サービスが給付対象となり、その一つである口腔ケアはますます注目されると思います。今後も日本訪問歯科協会と密に連携をとらせていただき、充実させていきたいと思います。
のどに食べ物が詰まったら年をとると、舌の動きが悪くなったり、飲み込む力が弱くなったりして、食事中にむせたり、食べ物がのどにつまりやすくなったりします。
むせたときに、大きな咳が「エッヘン」と出てすぐに治まるようであれば問題はありません。
けれども、呼吸がゼエゼエして声がかすれている場合や、むせがなかなか治まらない場合は、のどの詰まりが完全には取れていない状態です。自力ではとれないこともありますので、介助が必要となります。
●高齢者を前かがみにさせ、口の中に指を入れて舌を押し下げて背中を叩く。
●高齢者を立たせ、介護者が片手で胸の下を支えておじぎをするように前かがみにさせ、肩甲骨の間を4~5回くらい強く叩く。
呼吸困難になっているときや意識のないときは、窒息するおそれがあるので、すぐに救急車を呼びましょう。
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