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- 2005.05
地域の高齢者の方々にデイサービスを提供している、「男鹿市中央デイサービスセンター」(秋田県)では、利用者から寄せられる「お口の悩みの相談」に答えたいと、口腔ケアの取り組みを始めました。
利用者の皆様の「お口の悩み」を解消するお手伝いがしたい
日頃、デイサービスの利用者の方々と接していると、入れ歯が合わない、入れ歯をなくした、歯茎が痛いなど、「お口の中の悩み」について、相談されることがよくあります。そんな時は「大変ですね」と共感することぐらいしかできなかったのですが、私たちがきちんとした知識をもって相談に乗ったり、アドバイスをして差し上げたりすることも必要なのではないかと感じるようになりました。
そこで、私たち職員に口腔ケアの情報を提供してくれるところはないかと探していた時に、日本訪問歯科協会の存在を知りました。
次に、当センター利用者の方を対象とした歯科検診を実施。52名の方が受診し、そのうち10名の方が治療を受けました。この数字が多いのかどうかはわかりませんが、少なくとも10名の方のお口の悩みが解消されることになったのですから、成果は十分にあったと思っています。
検診の結果はご家族にも通知しました。これまで、「口の中が痛い」「入れ歯が合わない」と思っても、「もう老い先短いんだから、がまんしていればいい」と、ご本人もご家族の方もあきらめたり、安易に考えていたりする傾向があったように思います。
けれども、今回の検診で、治療やケアはまだ十分に可能であり、痛みや不快感によるストレスなどお口の悩みから解放させてあげることができるという、ご家族の方の意識改革につながったのではないかと考えています。検診は定期的に行うことでさらに成果が上がると思いますので、今後も継続してやっていきたいと考えています。 小学校の歯科検診並みに高齢者の歯科検診が浸透すれば理想的 第1回目の講習会は、口腔ケアの基礎知識のお話が中心でした。それは知識としてはとても参考になりましたが、私たち相談員が一番知りたいのは、利用者様に相談を持ちかけられた時に、どのようにアドバイスして差し上げられるかということ。次回はぜひ、利用者の方との直接のやりとりですぐに役立つアドバイス方法なども教えていただきたいと思います。
今後は口腔ケアの重要性が注目されてくると思います。小学校の歯科検診と同じように、高齢者の歯科検診が一般的に行われるように理想的。行政もまきこんで制度化されればよいと考えているのですが、日本訪問歯科協会さんには、そういう制度作りのバックアップもぜひしていただきたいと思います。
高齢者の食事の工夫「食べる」ことは健康な体を維持していくための源であり、大きな楽しみでもあります。
高齢になってくると、歯がなくてよくかめない、入れ歯が合わなくてかめない、飲み込みがうまくいかない、などさまざまな理由から食事がうまく食べられなくなってくることがあります。
そんな時は、状態に合わせて食事の形を変え、自分の口で安全に食べ得られるように工夫をする必要があります。
調理の工夫家族と同じ料理のときも、下ごしらえに一工夫するだけで食べやすくなります。
肉類…たたいてやわらかくしたり、筋に切れ目を入れる。
魚類…骨がのどにひっかからないよう、身をほぐしたりすり身にする。
野菜…意外と噛み切れないほうれん草は小さく切る。根菜類は隠し包丁を入れてやわらかく煮る。
漬け物…たくわんやきゅうりなどは、薄く切るか切れ目を入れると食べやすくなる。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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