- 189
- 2025.03
医療法人研医会 和歌山すみれホーム(和歌山県)では訪問歯科診療を導入し、ご家族の理解も得て、入居者様の検診や口腔ケアを行っています。定期的な歯科医師の訪問によって口腔ケアに対する職員の意識も変化しています。
訪問歯科診療の導入で職員の意識が向上
医療法人研医会和歌山すみれホーム 管理者/介護福祉士 谷功規さん
認知症対応型グループホームである当施設では、口腔衛生管理体制加算を取り入れるタイミングで訪問歯科診療を検討しました。日本訪問歯科協会の紹介を受けて、やまもと歯科の山本先生に来ていただくようになり、定期的な『お口の健康相談会』や口腔ケアなどを実施しています。 口腔ケアで病気予防ご家族も納得
これまで、入居者様のお口のトラブルが発生した時に歯医者さんに治療をお願いすることはありましたが、定期的に訪問していただく体制ではありませんでした。
訪問歯科診療を導入して定期的に検診を受けられるというご案内を入居者様のご家族にした時、「そんなに毎度診てもらわなくてもかまわない」「うちの母は入れ歯だから必要ない」という声もいただきました。
けれども、訪問歯科診療は歯の治療だけではないこと、口腔環境が悪いと誤嚥性肺炎や全身の病気の原因にもなり、お口の中を清潔にすることが他の病気の予防にもつながることなどをご説明したら、スムーズにご理解いただけました。
入居者様も、歯医者さんと聞いて、歯を削ったり抜かれたりするんじゃないかと少し抵抗感をもたれるのではないかと思い、「お口の中を見てもらうだけ。ガリガリ削ったりはしないからね」とお話したところ納得されたようで、嫌がることなく検診を受けています。 職員の意識の変化をお口の健康につなげる
山本先生は気さくでやさしい先生で、まだお若いですが認知症の方の対応をよくおわかりになっていて、上手にコミュニケーションを取ってくださいます。入居者様との会話の中から伝え方などを工夫し、お一人ひとりにていねいに対応していただいてとてもありがたく感じています。
歯医者さんに定期的に来ていただくようになったことで職員の意識も変わってきました。これまでも食後の歯みがきの時は、自分でできる方は様子を見守り、できない方は介助するなど職員が関わっていましたが、細かい部分はわからないままにやっていたところがありました。
それが先生に指導していただき、気にかけるべきポイントがわかってきたことで、職員の意識が向上しました。そこから入居者様のお口の健康にもつながっていくのではないかと思います。
歯ぎしりのタイプ歯ぎしりとは、上下の歯を音が出るほど強くすり合わせたり食いしばったりすることを指します。就寝中だけでなく、目が覚めている状態でも起こることがあります。
歯ぎしりは、大きく次の3つのタイプに分けられます。
①グラインディング/歯を強くこすり合わせてギリギリと音がするタイプ。歯ぎしりというと多くの人が思い浮かべる典型的なタイプです。
②クレンチング/歯を強くかみしめるタイプ。朝起きた時に歯や顎に痛みを感じたり、こわばっていたりするようなら、クレンチングの可能性があります。
③タッピング/歯をカチカチと噛み合わせるタイプ。
歯ぎしりは癖のように捉えられがちですが、ストレスや噛み合わせが原因とされています。歯ぎしりが習慣化してしまうと、歯や顎へのダメージが大きくなり、歯がすり減ってしまったり、歯肉がダメージを受けたり、顎関節症になってしまったりすることもあります。
歯ぎしりは噛み合わせなどを調整することで改善する可能性もあります。歯ぎしりが激しい場合は専門家に相談してみてください。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
〒101-0037 東京都千代田区神田西福田町4 ONEST神田西福田町ビル8F TEL:03-5297-5073 FAX:03-5294-1150