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- 2024.09
特別養護老人ホーム飛鳥の里三清荘(岡山県)では、歯科医院による月2回の歯科回診・口腔ケアを行っています。歯科医院と連携して口腔ケアに取り組むようになってから、入居者様のお口の状態と職員の意識に大きな変化が現れていると言います。
歯医者さんとの連携で経管栄養から経口摂取へ
特別養護老人ホーム 飛鳥の里三清荘(施設長 服部 巳貴さん、管理栄養士 塩飽 遥さん、管理栄養士 髙橋 佑衣さん)
2023年4月から、日本訪問歯科協会に加盟している木村歯科医院に月2回、口腔ケアに来ていただいています。訪問での口腔ケアに取り組むようになってから、大きな改善が見られた入居者様もいらっしゃいます。先生や歯科衛生士さんに感謝するとともに、口腔ケアの手応えを感じています。 お口から食べる喜び大切さを実感
一番印象に残っているのは、経管栄養から経口摂取に移行できた方が数名いらっしゃることです。歯科の先生といろいろ調整を重ねながら、経鼻栄養や胃ろうの方が少しずつお口から食べられるようになっていったのです。ご本人の表情もとても豊かになり、全身状態も良くなってどんどん元気になっていき、ご本人もご家族様もとても喜んでおられました。
口から食べることは大きな楽しみにつながりますから、先生に指導していただきながら、介護士や栄養士などの職員もみんなでがんばりました。
また、終末期で食べることが難しくなってきた方も、お口の中をきれいにすることで食べやすくなるなど、専門的な視点でいろいろなアドバイスいただき、最後まできれいなお口の状態を保つことができました。 お口の状態の改善が職員のモチベーションに
歯医者さんの存在がより身近になり、訪問という点もとても心強く感じています。歯医者さんに連れて行くとなると、明らかに治療が必要な状態でないと行きにくいものですが、気になることを電話やLINEなどで連絡するとすぐに駆けつけてくださいますし、気軽に相談できるので、お口の状態の改善や悪化の予防につながりやすくなりました。
先生や歯科衛生士さんにアドバイスをいただきながら、職員も口腔ケアに対する意識が変わり、技術的にも徐々に上がってきているのではないかと感じています。
また、ケアマネジャーや看護師など、口腔ケアを介して他触手との連携も深まっています。経管栄養から経口摂取という食形態もそうですし、よりよい方向にケアプランが変更されることもあります。
入居者様のお口の状態が改善されていくことは、職員の大きなモチベーションにもなりますし、今後も口腔ケアに積極的に取り組んでいきたいと思います。
食べかす除去にスポンジブラシ加齢とともに舌やほおの筋力が低下したり、唾液の分泌量が減ったりして口腔機能が衰えてくると、食後に口腔内に食べかすなどが残りやすくなったり、粘膜にねばねばとした汚れがつきやすくなったりします。
口腔ケアの介助を行う時、口の中に食べかすなどが残っている状態でいきなり歯みがきを始めてしまうと、ケア中に食べかすがのどに落ちて誤嚥してしまうリスクがあるため、注意を払う必要があります。
口の中に食べかすや汚れが多い場合には、ブラッシングを始める前に、スポンジブラシで汚れを取り除くとよいでしょう。軽く湿らせて水分を絞ったスポンジブラシを、食べかすが残りやすいほおの内側(ほおと歯茎の間)の粘膜などに当て、くるくると回して絡めとり、粘膜の掃除を行います。こうすることで食べかすがきれいにとれて誤嚥の心配がなくなり、歯みがきもしやすくなります。なお、汚れを取ったスポンジには細菌が繁殖しやすいので、使い捨てが基本です。
スポンジブラシと歯ブラシをうまく組み合わせて、お口の中を清潔に保ちましょう。
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