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- 2024.04
特別養護老人ホームカナン(新潟県)は、令和6年4月1日から実施される介護施設での口腔衛生の管理の義務化を前に、入居者様の『お口の健康相談会』を行いました。相談会の結果を踏まえ、今後の入居者様の口腔ケアの取り組みに活かしたいと考えています。
入居者様のお口の状態をほめられたことが励みに
特別養護老人ホームカナン 施設長 有田さん / 主任相談員・ケアマネージャー 五十嵐さん
当施設の入居者は29名で、地域密着型の小規模な特別養護老人ホームです。入居者様が安全で快適に過ごせることを第一に考え、職員全体で取り組んでいます。
認知症が進んでいる方や寝たきりの方も多く、お口をなかなか開けてくれないなど、治療や口腔ケアが難しいこともあります。気になりながらもあきらめかけていた時に、初めて『お口の健康相談会』を行いました。入居者様全員のお口の状態を歯医者さんに確認していただくことはこれまでなかったので、とてもよい機会になりました。 相談会の結果を今後につなげるために
『お口の健康相談会』は一体どんな風に行われるのか、最初は私達も緊張していましたが、アルファ歯科上木戸の村上先生はとても気さくで、利用者様にも優しくていねいに接してくださいました。
認知症の入居者様から感想を聞くことはなかなかできませんが、相談会の後、これまでめったにケアをさせてくれなかった方に、「今後、口腔ケアをしに来てもいい?」とお声をかけたら、「いいですよ」と言ってくれました。すぐに忘れてしまうかもしれませんが、相談会が印象に残ったのだと思います。
相談会の結果はいただいたばかりですが、このデータを職員たちで共有し、またご家族にも伝えて要望を伺い、今後の治療や口腔ケアの取り組みにつなげていきたいと考えています。 今後は勉強会で口腔ケアのスキルアップを目指す
口腔衛生は高齢者の健康のためにとても重要であり、食べられないこと、嚥下困難や誤嚥は命に直結します。最近ではご家族の皆さんも理解されていて、「口腔ケアはしっかりやってください」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
私達も意識して取り組んできましたが、今回、相談会で先生に「入居者様のお口の中がきれいでよくケアされている」とほめていただき、やってきてよかったと励みにもなりました。
令和6年4月から口腔衛生の管理が義務化されますが、その前に『お口の健康相談会』を行えたのはとてもよいタイミングでした。
お口を開けてくれない方、嫌がる方の口腔ケアのコツやスキルアップなど、知りたいことがたくさんあります。職員向けの勉強会なども含め、歯科医院と密に連携を取りながら、入居者様のお口の健康のために、取り組んでいきたいと思います。
食事介助のコツ要介護者への食事介助では、注意しなければならないことがいくつかあります。
その1つがスプーンの動かし方です。スプーンを使って食事介助をする時は、食べ物を乗せたスプーンをいきなり口の中に入れるのではなく、要介護者の下唇にスプーンを一度触れさせます。こうすることで、相手は食べ物が口の中に入ってきたことを理解します。
その後、上唇で食べ物を取り込んでもらうようにし、口の中に運ばれたことを確認してから、ゆっくりと水平にスプーンを引き抜くことで一口が完了します。
また、介助者のポジションも重要です。要介護者が右利きならば介助者は右側から、左利きならば左側から介助を行うのが基本です。
右利きの人は右手で箸やスプーンを使って右側から食べ物を口に入れて食べています。同様に、食事介助の時も、要介護者の右側から口に運ぶようにします。右利きの人に対して、それまでとは逆に左側から食べものを口に入れると、咀嚼や嚥下の機能に誤作動が起こり、誤嚥してしまう危険もあるので、注意してください。
コツをつかんで、安全な食事介助を心がけましょう。
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