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- 2024.03
社会福祉法人シティ・ケアサービス「シティ・ハウス神松寺」(福岡県)は自立型のケアハウスで、歯磨きなどのケアも入居者様の自主性に任せていました。けれども、『お口の健康相談会』を行ったことで、職員が入居者様の口腔ケアに意識を向けるきっかけになったそうです。
『お口の健康相談会』からつながった訪問歯科診療
社会福祉法人シティ・ケアサービス シティ・ハウス神松寺 生活相談員 高村梨沙さん
こちらは自立型のケアハウスなので、通院などに関しては基本的にご本人とご家族にお願いすることとなっています。歯科受診についても、タクシーを呼んだり、ご家族に付き添ってもらったりして通われていた方が何人かいらっしゃいました。
けれども、コロナ禍になり、タクシーがなかなかつかまらなくなって歯医者さんに行けないと、入居者様から相談を受けることが増えました。そうしたタイミングで、日本訪問歯科協会からお話をいただき、『お口の健康相談会』を実施しました。 連絡すれば歯科医師がすぐに来てくれる安心感
『相談会』には多くの方が参加されました。来ていただいた先生もとてもやさしくて、一人ひとりのお顔を見ながら、ていねいにお口の状態を説明してくださったので、相談会は好評でした。
その結果を受けて、訪問歯科診療を受けている方も何人かいらっしゃいます。「家族の手をわずらわせることなく歯の治療が受けられるようになってよかった」「歩行器を使って一人で歯医者さんまで行くのが大変だったので、先生に来てもらえるのはとても助かる」など、喜びの声が聞かれました。
むし歯はなかったけれど、予防のために月1回の口腔ケアを受け始めた方もいらっしゃいます。訪問歯科診療は機材がコンパクトなので少し物足りなく感じるという方も中にはいましたが、連絡したらすぐに先生が来てくださるので安心できるという声を多くいただいています。 入居者様のお口の健康を気にかけるきっかけに
『相談会』の結果はご家族にもお伝えし、私たち職員も入居者様のお口の状態を知ることとなりました。自立型ということもあり、これまでは歯磨きなどもご本人にお任せしていましたが、『相談会』以降、私たちも入居者様のお口の健康を気にかけるようになり、口腔ケアの必要性をもう少し意識して呼びかけたほうがよいのではないかと感じるようになりました。
日々の生活の中では、お口のことまでなかなか注意がいかないと思いますので、歯磨きなどのお声がけをするだけでも、気づきにつながるのではないでしょうか。
そして、『お口の健康相談会』は今後もぜひ定期的に実施していきたいと考えています。
ぶくぶくうがいのコツ歯磨きをしてかき出したお口の汚れは、ぶくぶくうがいをしてしっかりと口から取り除くことが大切です。
日頃の歯磨きでなにげなくやっているぶくぶくうがいにもコツと順番があります。
①水を口に含み、左右の頬をふくらませて、3回ずつぶくぶくうがいをして吐き出します。
②上唇と上の歯の間をふくらませるようにして3回ぶくぶくうがいをします。同様に、下唇と下の歯の間をふくらませるようにして3回ぶくぶくうがいをし、水を吐き出します。
③最後に口全体で3~4回ぶくぶくうがいをして水を吐き出します。
うがいが不十分だと口の中に汚れが残ってしまうことがありますが、意識して行うことで、効率的にお口の汚れを取り除けます。
うがいをする時に上体が後ろに倒れていると誤嚥しやすくなるので、体を真っ直ぐにするか、少し前かがみの姿勢でうがいを行うようにしましょう。
また、ぶくぶくうがいをする際に、口から水がもれたり、水を飲んでしまったりする様子が見られたら、口腔機能が低下しているサインです。そんな時は歯科医師に相談しましょう。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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