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- 2024.02
医療法人海邦会介護老人保健施設長山(宮城県)では、『お口の健康相談会』や訪問歯科診療を実施したことによる、利用者様とスタッフの口腔ケアへの意識の高まりと、行動や取り組みの変化を実感しています。
お口の健康を保つことが利用者様の生活の向上に
医療法人海邦会介護老人保健施設長山(介護チーフ 山内 忠洋さん / 介護チーフ 大井 和美さん / 看護チーフ 伊藤 町子さん)
「医療法人海邦会介護老人保健施設長山」は併設する鹿島記念病院の精神科との連携を図りながら、認知症の利用者様との共生を目標に総合的なケアサービスを行っています。
2022年12月〜2023年1月には、東松島かどわき歯科クリニックの協力のもと、『お口の健康相談会』を実施しました。満床で90名の施設ですが77名が参加し、その後、44名の方が訪問歯科診療を受けています。 利用者様も積極的に口腔ケア
「相談会」や訪問歯科で利用者様もスタッフも口腔ケアへの取り組みに変化が見られました。
ある利用者様は、入所前は一人暮らしで歯医者さんへの通院が難しかったため、入れ歯を直すことをあきらめていたそうです。でも、相談会から診療につながり、入れ歯を直して硬いものも食べられるようなりたいと前向きに話してくれました。また、入浴の待ち時間に「時間があるから歯磨きしてこよう」など、自主的に歯磨きをされる方も増えました。
先生や歯科衛生士さんはお声がけが上手で、利用者様は口腔ケアや治療を安心して受けているようです。そのおかげで、以前は私達が口腔ケアをしようとすると抵抗していた方もスムーズに受け入れてくれるようになりました。 迅速な訪問診療で利用者様も快適度もアップ
訪問歯科の対応も迅速で、痛みや違和感があると連絡すると、すぐに駆けつけてくださいます。痛みなどの症状が長引くことなく改善されるため、利用者様も快適に過ごすことができます。
スタッフ向けの勉強会でも、入れ歯の調整には時間を有することや、歯槽膿漏の方の口腔ケアなど具体的にアドバイスをいただき、口腔ケアへの認識やケアグッズを見直すきっかけにもなりました。
コロナ禍以降、ご家族様の訪問を制限せざるを得ない状況でしたが、今後はご家族も交えた勉強会や相談会ができたらいいですね。やはり身近なご家族様からの声がけがあると、利用者様も口腔ケアや治療にさらに前向きになれるのではないでしょうか。
口腔ケアや歯科治療でお口の健康を保つことはとても重要ですから、今後も継続していくことによって、利用者様がさらに楽しく生活を送れればよいと思います。
嚥下障害のサイン嚥下障害とは、口に入れた食べ物が飲み込みにくい状態のことを言います。嚥下障害が起こると食事することが苦痛になったり、食べ物が誤って起動に入り、誤嚥性肺炎を引き起こしたりします。
嚥下障害の有無は、専門家によるスクリーニングテストが必要ですが、介護施設の利用者様の日常を観察していて、次のようなしぐさ見られる場合は、嚥下障害の疑いがあるサインです。
・むせや咳をする
・痰がよく出る
・しっかりと咀嚼できない
・飲み込みがスムーズでない
・食べ物が残留しているように見える
・食事中や食後に湿ったガラガラ声になる
・食欲の低下や好物の変化が見られる
・食事中に疲れてしまう
・食べ終わるまでに時間がかかる
・口腔内に食べかすが多くなった
・たびたび発熱する
・体重が減少している
普段の様子から、こうしたサインを見逃さないように注意してください。
嚥下障害の改善には口腔リハビリテーションが効果的です。
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