訪問歯科診療ニュース カムカム通信 歯から元気!「カムカム通信」は、訪問歯科診療の普及のために当協会が発行しているレポートです。介護事業所での口腔ケアへの取り組み事例をご紹介しています。

  • 171
  • 2022.02

COMECOME倶楽部

特別養護老人ホームさしまの家(茨城県)では、職員向けの「口腔ケア研修」や、訪問歯科診療、口腔衛生管理加算などに取り組んでいます。入居者様は歯医者さんが定期的に来てくれることに安心し、訪問を楽しみにしています。

歯医者さんの訪問は入居者様の楽しみ

歯医者さんの訪問は入居者様の楽しみ 特別養護老人ホームさしまの家 介護主任 山田淳さん 当施設では、1年半ほど前から『口腔ケア研修』という勉強会を実施しています。それがきっかけとなり、現在では訪問歯科診療も積極的に取り入れています。コロナ禍でも、検温、手洗い、手指消毒を徹底し、体調管理を十分に行って、日程調整なども臨機応変に対応しながら、万全を期して取り組んでいます。 口腔内の環境が目に見えて改善された 訪問歯科を利用するようになってから、入居者様の口腔内の環境はとても改善されました。面会にいらしたご家族の方にも目に見えてわかるようで、「歯がとてもきれいになった」「歯が白くなった」という声がよく聞かれます。

現在では「口腔衛生管理加算」の算定を実施し、週2回(入居者様お一人に対して月2回)、歯科衛生士さんが訪問して口腔ケアを行っています。定期的に診てもらっていることで異常の早期発見にもなりますし、歯の痛みや入れ歯の不具合についてすぐに相談でき、迅速な治療にもつながっていきます。

通院となると歯医者さんに行くまで何日か痛みを我慢しなければならないこともありますが、いつも来ている先生や歯科衛生士さんにすぐに診てもらえるので、入居者様も安心している様子が伺えます。 歯医者さんとの連携は入居者・職員双方のプラスに 歯医者さんや歯科衛生士さんに診てもらえるようになったことで、入居者様の口腔ケアへの意識も少しずつ変わっていきました。

歯の磨き方が雑だったり、面倒くさがったりしていた人も、食後に自ら歯磨きをするようになり、「今日は歯医者さんが来るからしっかり磨かなくちゃ」と、日常の習慣から改善されるようになりました。抵抗があって口腔ケアが難しかった方も、歯医者さんにはすんなりとお口の中を見せているのでとても助かります。

外部からお姉さんたち(歯科衛生士さん)が来てくれて、話を聞いてもらえることも楽しみの一つ。普段は硬い表情をしている人も、「今日は歯医者さんたちが来てくれますよ」と伝えると、朝から機嫌がよくニコニコされています。

私たち職員は年2回の「口腔ケア研修」を受けていますが、口腔ケアだけでなく食事介助の仕方なども教えていただいています。今後も歯科医院と連携を取りながら、学んだことを日頃の介護に活かしていきたいと思います。

ワンポイントアドバイス 今日から始める。簡単お口のケア!

歯周病と全身の病気いまや「国民病」とも言われる歯周病。進行すると歯を失ってしまうことはよく知られていますが、その影響は口の中だけにとどまりません。歯周病の原因となる歯周病菌は、酸素を苦手とする嫌気性の細菌で、歯と歯のすき間や歯と歯肉のすき間の歯周ポケットなどで増殖します。

歯周病菌が増えると歯肉に炎症を起こすだけでなく、歯肉の奥に逃げ込むと血液中に入ってしまうこともあります。歯周病菌が血流に乗って全身をめぐると、動脈硬化を起こしやすくなります。心臓の動脈で動脈硬化が起こって血管が詰まればば、心筋梗塞などのリスクが15〜24%ほど高まると指摘されています。脳の血管が詰まれば脳梗塞のリスクも高まります。

また、歯周病は糖尿病の合併症の一つとも言われます。糖尿病の人は歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いというデータが報告され、歯周病があると血糖コントロールが悪くなることもわかっています。

さらに、歯周病菌などの雑菌を多く含む唾液が気管に入ってしまうことで、誤嚥性肺炎を起こすリスクも生じます。そうならないためにも、口腔ケアをしっかりと行いましょう。

発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
〒101-0037 東京都千代田区神田西福田町4 ONEST神田西福田町ビル8F TEL:03-5297-5073 FAX:03-5294-1150

  • 患者の皆様へ 訪問歯科を申し込む
  • 介護事業者の方へ 「お口の健康相談会」を実施するには

Copyright©Nihon Houmonshika Kyokai All Rights Reserved.