訪問歯科診療ニュース カムカム通信 歯から元気!「カムカム通信」は、訪問歯科診療の普及のために当協会が発行しているレポートです。介護事業所での口腔ケアへの取り組み事例をご紹介しています。

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  • 2020.02

COMECOME倶楽部

【医療法人実有会デイステーションミノアール】(大阪府)では、初めて『お口の健康相談会』を実施。『相談会』や訪問歯科診療は、お口の健康状態の改善だけでなく、変化の少ない高齢者の生活にとってよりよい刺激になるというプラスの効果も感じています。

歯医者さんが来ることは利用者様のよりよい刺激に

歯医者さんが来ることは利用者様のよりよい刺激に 医療法人実有会デイステーションミノアール 管理者 小林弘典さん 日本訪問歯科協会から提案をいただき、当施設でも『お口の健康相談会』を初めて実施。来てくれる歯医者さんが、すぐ近所にある柳田歯科クリニックの先生だったということが大きな決め手となりました。

今回は初回だったので、お互いに少し緊張して探りながら、という感じになりましたが、3日間にわたって滞りなく行うことができました。

定期的に行うことでイベントとしてなじんでくると思うので、様子を見ながら回を重ねていきたいと思っています。 訪問歯科診療で利用者様・ご家族の負担軽減 歯のことが気になっていても、足腰が衰えていれば移動が大変ですし、歯医者さんの診察台に座ることもひと苦労です。何回かこまめに通院する必要があることも多いので、付き添うご家族も日程調整をしなければならず、大きな負担もかかります。ですから、自宅で治療を受けられる訪問歯科診療は利用者様・ご家族の双方に大きなメリットがあります。

『お口の健康相談会』の後、訪問歯科を申し込んだ女性の利用者様は、「昨日先生が来てくれたよ。先生は背が高くてハンサムなので、来てくれるのが楽しみ」と話してくれました。

ともすれば、高齢者の生活はご家族かデイサービスの人たちにしか会わないという限られた人間関係の中で単調になりがちですが、刺激の少ない生活は脳にとってもよくありません。訪問歯科によって歯医者さんや歯科衛生士さんなど、これまで接点がなかった人と接する機会ができ、相手に興味を持ったり、いつもよりも少し身支度を調えたり、新たな刺激が生まれます。これももう一つの大きなプラス要素だと感じました。 コミュニケーションの機会を増やしたい 私達は口腔ケアに関しては専門外なので、今度は利用者様と一緒に話を聞かせていただくイベントができるといいですね。

たとえば、入れ歯をすぐに外してしまう利用者様に対して、「入れておいた方がいいですよ」と私達が言ってもなかなか聞いてもらえないこともありますが、先生の言葉なら耳を傾けてくれると思います。その時、私達も一緒に話を聞いていれば、後日、「この間、先生も言っていたし」と利用者様にお声がけしやすくなります。

私達が一番期待しているのは利用者様がおいしく食事していただけるようになることです。そのために、歯医者さんと利用者様が直接コミュニケーションをとれる機会が増えればいいと思います。

ワンポイントアドバイス 今日から始める。簡単お口のケア!

口腔機能低下症ささいな口の衰えを「オーラルフレイル」と呼びますが、進行すると「口腔機能低下症」と呼ばれる疾患になります。

口腔機能が低下すると、次の症状が見られるようになります。
・口の中が汚れる(口腔不潔)
・口の中が乾く(口腔乾燥)
・食べ物が口に残るようになった(咬合力低下)
・滑舌が悪くなった、食べこぼすようになった(舌口唇運動低下)
・薬を飲みにくくなった(低舌圧)
・硬いものが食べにくくなった(咀嚼機能低下)
・食事の時にむせるようになった(嚥下機能低下)

3項目以上に該当する場合は、口腔機能低下症と診断され、歯科での対応が必要となります。保険適用によって歯科治療やトレーニングを受けることができます。

口腔機能低下症を放置しておくと、「摂食嚥下障害」などさらに重い口腔機能障害を引き起こし、全身の健康に関わる問題になってしまうこともあります。

毎日の口腔ケアでしっかりと予防するとともに、気になる症状があれば早めに歯科医院に相談しましょう。

発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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