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- 2019.12
【特別養護老人ホーム泉寿荘】(宮城県)では、訪問歯科診療実施し、歯科医師との信頼関係を深めてきました最近では、スタッフ向けの勉強会も実施して知識も向上し、さらなる口腔ケアの強化に力を入れています。
見えないお口の中にこそ介護の質が表れる
特別養護老人ホーム泉寿荘 主任生活相談員兼主任介護支援専門員 新田正美さん
日本訪問歯科協会所属の歯医者さんとは、かれこれ16〜17年のおつきあいになります。入居者様は体が不自由だったり、認知症の方も多いため、以前は歯医者さんに行くとなると移動が大変だったり、環境が変わることで入居者様が不安定になってしまうこともありました。
そこで、先生にホームに来ていただいて訪問歯科診療をお願いしています。入居者様はいつもの慣れた環境で治療を受けることができますし、私達スタッフも治療の様子がよくわかるので、安心してお任せできます。 入居者様の表情から訪問歯科の成果を実感
先生はいつでも気軽に来てくださり、時間をかけてていねいに診てくれます。入居者様の気持ちに寄り添いながら、やさしく接している様子は、私達も勉強になります。入居者様、ご家族、私達スタッフにとっても心強い存在です。
認知症の入居者様から治療の感想を直接聞くことは難しいのですが、食事の時の表情を見ていると、顔をしかめることもなくなり、おいしそうに食べているので、調子がよくなったことは一目瞭然。「ごはんがおいしい」「痛くない」という声も聞かれるので、治療が生活にしっかりと反映されていることを実感しています。 翌日すぐに試したくなる実践的な勉強会
最近では、定期的にスタッフ向けの勉強会もお願いしています。スタッフ全員が直接、先生からお話を伺うことができる勉強会はとても実践的で、すぐにやりたいと思わせてくれる充実した内容ばかり。その証拠に、勉強会の翌日には、勉強会に登場した口腔ケアグッズの購入の依頼が増えます。ご家族の方にも必要性をきちんと説明し、ご納得いただいた上で購入して、早速取り入れています。
介護は、全身を気にかけることは当たり前で、見えないお口の中の状態でケアの質がわかると言われているので、勉強会で得た知識を活かして口腔ケアを強化したいと思います。
食べることは生きることと直結しています。生活を笑って楽しむことができ、入居者様のキラキラした笑顔が増えるように、おいしく安全に食べていただくことを重視しています。勉強会を継続することは知識の積み重ねになるので、これからもしっかり知識を身につけて取り組んでいきたいですね。
窒息の原因と予防毎年、お正月になると餅による高齢者の窒息事故が多発します。窒息の原因となる食べものとして、真っ先に思い浮かぶのが餅ですが、それだけではありません。
厚生労働省の調査によると、
1位/餅(21%)
2位ご飯(16%)
3位/菓子類(14%)
4位/パン(12%)
5位/魚介類(10%)
6位/果実類(9%)
6位/肉類(9%) でした。
2位のごはんと1位の餅とではさほど大差がないことから、普段の食事で食べている多くの食品が窒息の原因になり得ると言えます。
食事中の窒息を予防するポイントは、
1.ひと口の量は無理なく食べられる量にする
2.食べものを口に入れたら、いつもより5回多く噛むことを心がける
3.ひと口30回噛むことを目標にする
口腔機能が低下している高齢者では、これらのポイントの実践を心がけて、普段から窒息に注意しましょう。
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