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- 2019.10
【デイサービスくるみ】(愛知県)では、初めて『お口の健康相談会』を実施。思っていた以上に利用者様のお口の健康状態がよくなかったことに驚き、口腔ケアの取り組みの重要性を再認識しました。
お口の健康相談会で利用者様の状態を把握
デイサービスくるみ 代表取締役/介護支援専門員/介護福祉士 山下康二さん 生活相談員 伊藤静香さん
当施設では今回、初めて『お口の健康相談会』を実施しました。うちのスタッフにも歯科衛生士がいて、週1回来た時に少しお口や歯みがきの様子をみてもらうことはありましたが、歯医者さんに本格的にみてもらうのは今回が初めてでした。
来ていただいた先生とスタッフの皆さんはとても朗らかで、若い先生だったので、参加した利用者様はうれしそうに喜んでいました。相談会は3日間に分けて行いましたが、大きな混乱もなく、終えることができました。 スタッフもご家族も驚いた相談会の結果
『お口の健康相談会』の結果の報告書は後日いただきましたが、思っていた以上に利用者様のお口の健康状態があまりよくなかったことに驚きました。
ご家族の方も同様で、「そうだったの!」と驚かれたようです。あるご家庭では報告書を見て、そういえば最近、歯ブラシを使った形跡がないことに気づき、毎日、歯みがきするように促すようになった、というケースもありました。相談会の後、歯医者さんに通い始めて現在治療中の方や、訪問歯科を希望された方もいらっしゃいます。
これまで、毎回、お食事の前に嚥下体操を行ったり、希望された方にだけ食後の口腔ケアはお手伝いをしていました。今回の結果を受け、まだ実際に行動には移せていませんが、もっと意識的に皆さんに口腔ケアのお声かけをしなければならないと、スタッフ間で話し合っているところです。
口腔ケアはまだまだ知らないことだらけ
今回は初めての『お口の健康相談会』でしたが、今後も定期的に続けていけたらよいと思います。また、口腔ケアについてはまだまだ知らないことがたくさんあるので、今後は利用者様向けとスタッフ向け勉強会もぜひやっていきたいです。
利用者様には口腔ケアの大切さを説明していただき、私たちスタッフ向けでは、ぜひ実践的なノウハウを教えていただきたいと考えています。
入れ歯を外している人の食べ方入れ歯が合わなくて外していたり、面倒くさがって入れ歯を外したまま、食事をとっている人がいます。家族や施設のスタッフも、本人が嫌がるので無理強いできずに、仕方なく認めているというケースもあるようです。
総入れ歯を外して歯が1本もない人の食べ方を見ていると、モグモグと口を動かしているので、まるで歯茎で噛んでいるようにも見えます。けれども、実際には、噛んでいるのではなく、舌で食べものを上あごに押し当てて、すりつぶしながら食べているのです。
やわらかいものであれば、この方法でもなんとか食べることができますが、とても食べにくいですし、ある程度の固さのあるものをすりつぶしきれずに飲み込めば、窒息のおそれもあります。
また、認知機能が低下すると、飲み込むことを忘れて口の中に食べものをため込んでしまうこともあり、噛むことができなければ窒息の危険が高まります。
食べものは歯で噛んで、飲み込みやすい状態にすることが大切です。できる限り、入れ歯をきちんとつけて、しっかり噛んで食べるようにしましょう。
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