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- 2019.08
【医療法人名圭会 介護老人保健施設ケアタウンゆうゆう】(埼玉県)では、訪問歯科診療や職員の勉強会など、歯科医師としっかりと連携を図りながら、入居者様のお口の健康管理に寄り添っています。
歯科医師との連携で入居者様のお口の健康を守る
医療法人名圭会 介護老人保健施設ケアタウンゆうゆう 介護副主任 中川智史さん
2011年の施設開設当初から、日本訪問歯科協会と蓮田本町歯科診療所のご協力をいただき、訪問診療をはじめとする口腔ケアに取り組んでいます。
入居者様の中には経管栄養の方や、リクライニングを使用しなればお食事できない身体状況が重い方もいらっしゃいます。介護士だけではお口の健康について十分に気を配れない部分もありましたので、非常に助かっています。 すぐに歯科医師に相談できる心強さ
ある総入れ歯の女性は、最初は問題はなかったのですが、ある時、お話をしていたら、上の義歯がカパッと外れてしまうことがありました。注意深くその方の様子を見ていたら、食事の量も落ち始めていましたので、すぐに先生に連絡をして、入れ歯を調整していただきました。
食事の形態を食べやすいソフト食にしたこともあり、入れ歯を調整したことで食欲は回復しました。また、入れ歯を外しているとどうしても老けた印象になっていましたが、また入れ歯をつけたことで、若々しさも戻りました。
もうお一方、60代後半とまだお若いのですが経管栄養の方がいました。「食べる」ことだけを考えれば、経管ですので歯は必要ないのですが、ご家族から見た目のことも考慮して、入れ歯を入れたいという希望がありました。そして、先生もご家族の要望を汲み取って、入れ歯を作ってくださいました。
結果としては、反射的に噛んで入れ歯を割ってしまったため装着には至らなかったのですが、作成に対応していただいたことにご家族も満足していました。
このように何かあった時にすぐに対応していただけるのは、とても心強いです。 実践的な勉強会で改めて口腔ケアを学ぶ
当施設では、口腔衛生管理体制加算の取り組みをしていて、毎月1回、先生に講習をお願いしています。テキストを使った講義だけでなく実践を交え、居室に出向いて口腔ケアが難しい方の実技をしていただくなど、現場に寄り添う内容でやってくださるのでとても勉強になります。
口腔ケアについては介護士の資格取得の際に一通り学びますが、現場に出ると排泄と入浴、食事介助がどうしても中心になってしまいます。こうして改めて口腔ケアについて情報を得る機会があることはとてもありがたく、しっかりと勉強させていただいています。
学んだことを職員全体で共有して、入居の皆様に還元していきたいと思います。
入れ歯が合わなくなる理由入れ歯はもともと、口の中に吸いつくように作られるものです。「総入れ歯は入れ歯安定剤を使って使用するもの」というイメージがあるかもしれませんが、自分の口に合うように調整された入れ歯であれば、安定剤を使用する必要はありません。
ところが、せっかくぴったり合わせて作ったはずの入れ歯も、歯がなくなると支えていた骨が徐々にやせ細っていき、歯茎もやせてくるため、だんだん合わなくなってきます。そして、食べものが挟まったり、痛みが生じたりするようになります。
入れ歯を調整してもいよいよ合わなくなった時には、新しい入れ歯に作り替えましょう。前の入れ歯はすぐに処分せずに、新しい入れ歯作りに役立てます。
入れ歯は作ってすぐに合うことはまずないので、何度も細かく調整を重ねながら、自分に合う入れ歯に仕上げていきます。その時、以前使っていた入れ歯を参考にすることで、調整の回数を少なくして、より適合しやすい入れ歯を作ることができます。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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