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- 2019.06
【デイサービス はなことば さくら名島】(福岡県)では、2018年に初めて『お口の健康相談会』を開催しました。お口の中の状態を確認し、ケアの方法を教えてもらったことで、職員・利用者様の意識に変化が見られました。
『お口の健康相談会』が口腔ケアの大切さを知る意識付けに
デイサービス はなことば さくら名島 管理者・生活相談員・認知症ケア専門士 本野光代さん
これまで、食後の歯みがきやうがいなどの口腔ケアは行っていて、片まひのある方や自分でできない方には職員が付き添ってお口のマッサージなどをしていました。けれども、ご自分でできる方には基本的にお任せしていたので、職員がお一人お一人のお口の状態を確認することまではできずにいました。 先生のわかりやすい説明で職員の意識がアップ
昨年、初めて『お口の健康相談会』を実施しました。開催のきっかけは、これまでお口の中の状態を把握するのは難しかったので、歯医者さんに見ていただくのはとてもよい機会だと思ったことです。
実際に先生に見ていただくと、どんな治療が必要か、ケアはこうしたほうがいいなど、とてもわかりやすく説明してくださいました。的確なアドバイスもいただき、職員の口腔ケアに関する意識に変化が見られました。
以前は利用者様がご自分で歯みがきをして口腔ケアは終わりでしたが、職員から「口の中にできものがある」などの報告もあがるようになり、口の中もしっかり見て確認しようという意識付けになったと実感しています。 「食後の歯みがき」が利用者様にも広く浸透
利用者様は認知症の方がほとんどなので、『相談会』の感想を聞くことはなかなか難しいのですが、「食後は歯みがき」という意識付けができたように感じています。今までは「歯みがきは家でやるからいい」と言っていらした方も、ここでのお食事の後に歯みがきをされるようになりました。誤嚥性肺炎になりやすい方もいらっしゃいましたが、お口の健康の大切さなど、先生のお話が届いたようで、『相談会』を実施して本当によかったと感じています。
『相談会』のコメントは先生が結果表にまとめてくださいましたので、ご家族の方にも見ていただきました。その後、歯科医院を受診されたり、そろそろ連れて行かなくちゃなど、ご家族の方がお口の状態を知るきっかけにもなったのではないかと感じています。
施設の利用者様は定期的に入れ替わるので、今後も半年に一度くらいのペースで『相談会』が実施できれば理想的です。また、今後は訪問歯科診療などにつながる方も増えてくるかもしれませんので、ケアマネジャーさんとも連携しながら取り組んでいけたらいいと思います。
入れ歯を外す前・外した時の観察点 入れ歯の利用者様の口腔ケアを行う際には、入れ歯を外す前、外した後に次のことを確認しましょう。
【外す前】
・入れ歯をした状態で顎の不随運動(本人の意志によらない運動)などがないか?
・入れ歯が浮いていないか?
を見て確認。利用者様には、
・入れ歯による歯や粘膜の痛みはないか?
を確認。外してからだと痛かった部分をを忘れてしまうこともあるので、外す前に尋ねます。
【外した後】
・しっかりと吸着していたか、簡単に外れたか
・入れ歯の表側や人工歯、床の部分が汚れていないか?
粘膜と接している面ではなく、人工歯や床などが汚れているのは、頬や唇、舌の動きが衰えているサイン。咀嚼や嚥下がスムーズにできていないと、食べ残しや食べかすが入れ歯に付着します。
こうした汚れが見られる時は、入れ歯の調整を行うよりも口腔リハビリを行うことで、汚れが付かなくなることもあります。
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