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- 2019.03
【社会医療法人社団医善会いずみ記念病院】(東京都)の通所リハビリテーションでは、定期的に『お口の健康相談会』や勉強会を継続して開催し、健康でいるためにも口腔ケアが大切だということを知っていただくための啓発に取り組んでいます。
健康で長生きするために口腔ケアの大切さを啓発
社会医療法人社団医善会いずみ記念病院 通所リハビリテーション室長 阪本浩一朗さん
私が福祉施設で働くようになってから数十年になりますが、何年か前までは「お口の健康」と「長寿」は、全くといっていいほど結びついていませんでした。それが今ではマスコミでも取り上げられ、注目されています。
私の以前の職場にも歯医者さんが来ていたので、口腔ケアの大切さは私も認識していました。ここでも口腔ケアの啓発ができないかと思っていたところ、日本訪問歯科協会から『お口の健康相談会』や勉強会をボランティアで行っているという話をいただき、定期的に実施しています。 食後の歯みがきが広く浸透
ここでは利用者様には食後の歯みがきや歯ブラシを持ってくることなどは強制していません。ですから、食後は簡単なうがいだけ、という方もいらっしゃいますが、以前に比べると食後に歯みがきをされる方は断然増えています。「ここは歯みがきをする施設なんだ」という雰囲気が浸透していて、他の人がやっているので自分も、という相乗効果もあるようです。
『お口の健康相談会』や勉強会で、口腔ケアと健康の関わりついてのお話を聞いたことが意識として利用者様にもスタッフにもインプットされ、啓発につながっているのだと思います。
気になったことがあってもわざわざ歯医者さんには聞きに行にくいけれど、『相談会』は先生が来てくれたので気軽に話ができたなどの声も聞かれます。セカンドオピニオン的に意見を聞かれる方もいました。
相談会後に訪問診療を申し込まれた方もいます。一人暮らしの方で、歯医者さんに通うために離れて暮らす家族に付き添ってもらうことを遠慮していたようですが、往診に来てもらえて本当に助かったと大変喜んでいらっしゃいました。 口腔リハビリは数値化で評価できれば励みに
お口の健康相談会などは5年以上続いています。先生もやさしくて、治療計画などもしっかり立ててくださるので、利用者様にも安心してご紹介できます。
ここは通所リハビリテーションですから、体のリハビリがメインです。口腔機能を高めると言われているお口のリハビリもいろいろありますが、体のリハビリと違って効果が見えにくい感じがしています。評価が数値化できればわかりやすいし、「1つ良くなった」など、やる側の励みにもなりますので、評価方法などがあれば勉強会などでぜひ教えていただきたいです。
これからも皆さんに、口腔ケアについてさらに関心を高めていけるように取り組んでいきたいです。
認知症とフッ素配合歯磨き粉認知症が進むと、歯ブラシなどの道具の使い方を忘れてしまったり、水を吐き出すうがいがうまくできなくなったりして、歯みがきの能力が低下します。
また、認知症の高齢者は、健康な高齢者に比べて甘い食べ物を特に好むという海外の研究データが報告されています。
こうしたことから、認知症の高齢者はむし歯になりやすい傾向にあると言われています。けれども、むし歯予防を優先して甘いものを禁止するのは生活の楽しみを奪うことになってしまいます。
甘いものもを楽しみつつ、むし歯予防も期待できる方法として、高濃度フッ素配合の歯みがき粉を使った歯みがきがあります。
この歯みがき粉はフッ素が歯をコーティングするために、むし歯や知覚過敏などの口腔トラブルを効率よく予防する効果があります。
さらに、歯の表面の凹凸がなくってツルツルした状態になるので、歯垢や歯石もつきにくくなります。
ただし、いくらむし歯予防の効果があると言っても、すでにむし歯になっている場合は、まずは歯科医院で治療を受けましょう。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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