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- 2018.05
【社会福祉法人港福会就労継続支援B型事業所みなと工房】(東京都)では、『お口の健康相談会』によって、利用者様だけでなく支援する立場にある事業所スタッフにとっても、口腔ケアを考えるよいきっかけになりました。
お口の健康相談会は支援者にとってもよい機会に
所長・サービス管理責任者 吉住三男さん
当事業所はおもに精神障害をもつ方を対象とした、就労継続支援B型事業所です。今回、日本訪問歯科協会より、ボランティアで行っている『お口の健康相談会』のお話をいただき、利用者様向けに初めて実施しました。 ていねいでリラックスした先生の対応に安心感
利用者様のなかにはかかりつけ医をもっていない人がおり、『お口の健康相談会』は自分のお口の中の状態を知るよいきっかけになりました。
精神障害の方が対象ということで、外部の人にとっては少し緊張感がある施設だと思うのですが、相談会にいらした歯科の先生はとてもリラックスした様子で、すごく細かくていねいに対応してくださったので、問題なくお任せすることができました。
利用者様の反応としては、歯の治療中の方で「セカンドオピニオンの形でもう少し具体的なアドバイスが聞きたかった」「もう少しゆっくり時間があったらなおよかった」などの意見もありましたが、歯の磨き方を細かく指導してもらいとても参考になった、と喜んでいらっしゃる方もいて、結果的には大変満足しています。 利用者側は受診の動機づけ支援者側は状態を把握するきっかけに
相談会の結果を受けて、後日かかりつけの歯医者さんに通われた方もいますので、受診の動機づけにもなったようです。
これまで、健康診断は定期的に行っていましたが、歯については初めてだったので、私たちも皆さんのお口の状態を初めて知りました。「この人はちゃんと歯磨きができているんだな」などの気づきをもつことができたので、支援者側の立場としてもとてもよい機会になったと思います。
これまで、お口のことに関しては特別なケアはしていませんでしたが、相談会をきっかけに私たちの意識も高まりました。お昼の休憩は1時間ありますが、今は昼食後に歯磨きする人はあまりいません。これからは、私たちのほうからももう少し積極的に働きかけをしてもよいかなと思いました。
歯垢とバイオフィルムの違い口の中の汚れとしてよく聞く言葉に、「歯垢」「バイオフィルム」「歯石」がありますが、それぞれの違いについてご存じでしょうか?
「歯垢」とは、食後8時間程度でできる微生物の塊のことです。食べかすが細菌の栄養源となるために、食後に発生します。
歯垢が口腔内に長時間留まって膜のようになったものが「バイオフィルム」です。歯垢は食後の歯みがきで取り除くことができますが、膜のようになって歯に付着しているバイオフィルムの状態になると、歯科医院のクリーニングでないと取り除くのが難しくなります。
さらに、歯垢が唾液中に含まれるカルシウムやリンと反応して石灰化すると「歯石」となります。歯垢が歯石になってしまうと、日頃の歯みがきだけでは取り除くことはできず、歯科衛生士に歯石除去をしてもらうか、歯科医院での歯のクリーニングを受ける必要があります。
バイオフィルムや歯石がつくと、専門的なクリーニングが必要となりますので、毎日の口腔ケアで歯垢をきれいに取り除いて、汚れを残さないことが大切です。
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