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- 2018.03
【有限会社みどりの風 グループホーム縄文の風】(宮城県)では、訪問歯科と職員向け勉強会で学んだことを日々の口腔ケアに活かしながら、利用者様のお口の中を良い状態に保てるよう、職員一丸となって取り組んでいます。
口腔ケアと訪問歯科でお口の良い状態を保つ
代表取締役・主任介護支援専門員・作業療法士 伊藤あおいさん/管理者・介護福祉士 板垣美絵子さん
職員向けの口腔ケアの勉強会と、利用者様向けのお口の健康相談会を行いました。勉強会では、日常の口腔ケアが、全身の健康にもつながっているということを、改めて認識することができました。
利用者様は皆さん、認知症をお持ちなので、普段、お口を開けることを拒む方もいらっしゃいます。けれども、『お口の健康相談会』では、皆さん、ちゃんとお口を開いていて、先生の前だと私たちの時とはやっぱり全然違いました。『相談会』は利用者様の口腔の状態を知る、とてもよいきっかけになりました。 訪問歯科は部屋で一通り治療ができて安心
認知症の利用者様は自分のお口の状態も忘れてしまいます。『相談会』の時に、自分が入れ歯をしていることすら忘れている方がいましたが、『相談会』で先生とお話ししているとその時だけでも意識するので、年1回くらいのペースで続けられればよいと思いました。
『相談会』後に、訪問歯科診療を受けている方は何人もいらっしゃいます。往診に来ていただいても、ときどき口を開けない方もいますが、そんな時でも先生は「今日は嫌ならまた今度にしましょうね」と臨機応変に対応してくださいます。最初の頃は治療の時にはスタッフが何人か付き添っていたのですが、最近は先生への安心感からスムーズに治療ができるようになりました。
それまで、かかりつけの歯医者さんに行きたいとこだわっていた方も、お部屋でひと通りの治療ができるとわかると、訪問歯科に切り替えられました。 食後は皆さんにこまめにお声がけ
職員は勉強会をしたことで意識が変わりました。レクの時間にはお口の体操を取り入れていますし、歯磨きは食後すぐではなく30分後くらいがよいと聞いたので、少し時間をあけてから歯磨きの声かけをするなど心がけています。
また、今まではできる方だけがやればいいというところがどこかにありましたが、今ではできない方にはスタッフがついて介助し、できている方にも「終わりましたか?」など、意識して声をかけるようにしています。
勉強会で先生は、お口の状態がADL(日常生活動作)などにも関連しているということを、科学的根拠の資料を示しながら話してくれました。お口の中を良い状態に保てるようにすることが大切なんだという共通認識のもと、職員一同、口腔ケアに取り組んでいます。
災害時の口腔ケア災害発生時、被災者は睡眠不足などの不規則な生活になりがちで、肺炎、インフルエンザ、風邪などの感染症にかかるリスクが高くなります。口の中を清潔に保つことができないと、口の中の菌が体に悪影響を及ぼすことがあり、肺炎にかかりやすい高齢者では特に注意が必要です。
災害時は水が不足するので、なるべく水を使わない方法で口腔ケアを行います。歯磨き粉は口の中に残ると乾燥を誘発しやすいので、十分に口がすすげない時にはなるべく使わないようにします。口をすすぐ時にも、一度にたくさんの水を口に含むよりも、少量ずつ含んで複数回に分けてすすいだほうが、口の中の汚れを効率よく吐き出すことができます。
唾液には汚れを洗い流す自浄作用があるので、歯ブラシがない場合は唾液腺マッサージで唾液がたくさん出るようにします。
また、濡らしたガーゼやタオル、ウェットティッシュなどを指に巻いて歯の表面をこすって、歯垢を取るようにしてください。
デンタルリンスや洗口液は、水だけのうがいよりも歯垢の除去には効果的ですので、歯ブラシセットと共に非常持ち出し袋に入れておくとよいでしょう。
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