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- 2017.12
利用者の意思及び人格を尊重した居宅介護支援を行う【ケアプランHana】(千葉県)では、2013年と2017年に、口腔ケアの勉強会を開催しました。参加されたケアマネジャーの皆さんに率直な感想を伺いました。
お口の専門家によるサービスの導入の必要性を実感
ケアプランHana(管理者 宮本敬子さん、ケアマネジャーの皆さん)
口腔ケアの勉強会には、市内の坂口歯科の先生に来ていただき、嚥下や咀嚼に関してお話を伺いました。以前は歯医者さんと言えば、むし歯の治療や義歯の作成など、直接的な口腔トラブルの対応という印象でしたが、最近では嚥下リハビリや誤嚥性肺炎の予防など、幅広く相談に乗ってくれるのでとても心強い存在です。 勉強会で「食べる姿勢」の大切さを学ぶ
今回の勉強会で非常に印象的だったのは、食べる姿勢についてのお話です。食事をする時は足がしっかり床に着いていることがとても大切で、上体を起こして、自分の目で料理を見て、何が食べたいのかを選ぶことから食事は始まっているのだと教えていただきました。
このお話を聞いて思い当たることがありました。ベッドの上でほとんどの時間を過ごすある利用者様は、食事は車椅子に座って食べたいとおっしゃいます。ベッドから車椅子に移乗させての食事介護はご家族も大変だと思っていたのですが、ご本人の自然な気持ちだったんだということに気づかされました。
ベッドでのお食事に時間がかかってしまう方もいて、仕方がないという思いがどこかにありました。けれども、ベッドで上体だけ起こしても、姿勢はどうしても不安定になるので、それが原因だったのだのかもしれないと認識を改めました。
また、「入れ歯は装具」という先生の言葉も名言でした。入れ歯を作って入れれば食べられるようになると思っていましたが、本人に合うように調整して、うまく使いこなすことが大切だということを知りました。 月1回訪問する私たちだから気づくこと
利用者様には必要に応じて訪問歯科診療をご紹介していますが、坂口先生は認知症の方にも優しく接してくださり、診察もていねいだと評判がとてもよいです。以前、別の訪問歯科を利用していたけれど、認知症でうまく治療ができなかった方が、坂口歯科に変えたら治療がスムーズで、お口をきれいにしていただけたと、ご家族にとても喜んでいただきました。
私たちも先生に、「月1回利用者様の所に訪問する皆さんだからこそ気づけることがある」と言葉をかけていただき、励みになっています。
これまで、口腔ケアはケアプランの位置づけとしては後付けになりがちでした。けれども、口腔ケアが誤嚥性肺炎やそこからの寝たきりの防止など、介護予防につながることを知り、居宅療養管理指導の中に、訪問歯科等お口の専門家のサービスの導入を積極的にやっていかなければならないと感じています。
入れ歯にも歯石が付く!?入れ歯は本物の歯ではないのでむし歯になることはありませんし、歯周病になって歯が抜けることもありません。けれども、入れ歯にも歯垢がたまったり、歯石ができることはあります。
一般的な入れ歯はレジンというプラスチック素材でできています。プラスチックには吸水性があるため、水分を吸い込むときに細菌も一緒に吸い込むことで、細菌の塊である歯垢が付着しやすくなります。入れ歯に付着する歯垢は「デンチャープラーク」と呼ばれ、放っておくと歯石になります。
歯石が入れ歯に付いてしまうと、自分で取り除くことは困難です。無理に取ろうとして入れ歯に傷を付けてしまうと、さらにデンチャープラークが付着しやすくなって、歯石の原因となります。
歯石が付いてしまった場合には、必ず歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。
入れ歯の歯石を予防するためには、毎日のお手入れが欠かせません。1日に1回は必ず入れ歯専用ブラシを使って水洗いして、汚れをしっかり落としましょう。
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