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- 2017.07
【小規模多機能型居宅介護事業所「わがや」】(福井県)では、口腔ケアの勉強会を実施。勉強会で得た知識は、翌日から現場ですぐ活かせる実践的なものだったので、職員の意識が変わり、大きな手応えを感じています。
職員向けの勉強会で大きな成果を実感
小規模多機能型居宅介護事業所「わがや」管理者/藤本美幸さん
「わが家のような安らぎ」がモットーの当施設では、デイサービスを中心にショートステイや訪問介護を提供しています。
ご利用者様に快適なサービスをご提供することはもちろん、ご家族の方のためにも私たちが少しでもお役に立てることはないかということを日頃から考えています。
そうした思いからご紹介したのが訪問歯科診療です。高齢の方を病院に連れて行くとなると、予約を入れていても、なんだかんだと半日くらい時間がとられてしまうことがあります。そこで、「歯医者さんが来てくれる訪問診療ならば」と考えたのです。
ご家族の方に相談したところ、皆さん「いいですね!」とおっしゃってくださいました。現在、利用者様3名が訪問歯科診療を受けていらっしゃいますが、非常に喜ばれています。 親近感のわく地元の先生でお口の健康相談会
利用者様向けに、『お口の健康相談会』も実施。訪問歯科も相談会も、地元で親子二代にわたって開業をしている山本歯科の先生が対応してくださっています。『相談会』にはやさしそうな息子先生が来てくださいましたが、利用者様の中には「先生のお父さんに診てもらっていたよ」という方もいて、とても親近感がわいたようです。
『相談会』の結果は、後日、書面でいただきましたが、お一人おひとりの状態が書かれていて、参考になりました。
お口の中に残渣物が付着しているというコメントをいただいた利用者様がいらしたのですが、最近、体調が優れなかったのはそのせいかもしれないと、いろいろなことがつながりました。お口を開けてくださらない方なので、そうした方の口腔ケアのやり方なども今後アドバイスをいただこうと思っています。 1回の勉強会ですぐに成果を実感
また、職員向けの勉強会も行いましたが、口腔ケアの大切さが実感でき、とても勉強になりました。
勉強会に参加したパートの介護スタッフが、翌日の口腔体操で、一つ一つの動きの意味をしっかり説明しながら進めていたのには、とても感心しました。スタッフの意識が明らかに変わり、1回の勉強会でこんなに成果が上がるとは思いませんでした。
こういうよい効果は周りも感化するので、みんなの意識が高くなり、よい方向に向かっています。これからも勉強会でいろいろなことを教えていただきたいと思います。
食事の様子を観察する食事は高齢者にとって大きな楽しみの一つです。しかし、その反面、口腔機能の衰えによって、誤飲や窒息など、さまざまな危険が生じる場面でもあるので、食事の様子をしっかり観察してみましょう。
特に食べこぼしが多い場合を『口への取り込み障害』と言い、唇や頬の動きに問題があるときに起こるので注意が必要です。
・口の中にスムーズに食べ物を入れられない
・口の中に入れた食べ物がこぼれ出てしまう
・食事中によだれをたらす
・口がうまく開けられない
・口がしっかり閉まらない
などが主な症状で、唇や頬の動きに問題があるときに見られます。
また、食べこぼしがない場合も、口の動かし方に注目してみてください。口がもぐもぐと動いていると、一見、よく噛んで食べているように思いがちですが、頬や舌の機能が低下すると、咀嚼した食べ物を咽頭部を送り込むことができず、もぐもぐしているだけでいっこうに飲み込めないというケースもあります。
食事の様子は、口先だけではなく、頬を含めた口全体が大きく動いているかを観察しましょう。
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