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- 2017.04
【小規模多機能居宅介護あおぞら】(福岡県)のモットーは、その人らしさを大切にした画一的でない介護を提供すること。『お口の健康相談会』で、利用者様一人ひとりのお口の状態を把握し、改善につなげています。
『お口の健康相談会』で食欲の低下も改善
小規模多機能居宅介護あおぞら管理者/中村洋子さん
当施設の理念は、住み慣れた地域で、自分らしく笑顔で心豊かに安心して暮らし続けていけるように、利用者様とそのご家族の思いを大切にして、寄り添いながら支援をすること。そのために、通所や訪問、短期宿泊のサービスを行っています。そうした中で、『お口の健康相談会』を実施しました。 お口のケアの優先順位はどうしても低め
私たちは、昼食と夕食の後に、利用者様を個別に誘導してその方に合わせた歯みがき、入れ歯の洗浄の支援などを行っています。ほかにも口腔マッサージを行ったり、あいうえべ〜体操を実施したりして、嚥下機能を向上させる取り組みなども行ってきました。
けれども、お口のことは、高血圧とか心臓病などに比べるとどうしても優先順位も注目度も低くなってしまいます。ご家族の方もなかなか歯のことまでは手がまわらないというのが現状でした。 認知症の方にもわかりやすく説明
今回、『お口の健康相談会』を実施したことで、利用者様も自分のお口の状態を改めて知ることができましたし、ご家族の方も現状を把握することができたのは、とてもよかったと思います。
相談会に来ていただいた先生は、「虫歯がありますね」「入れ歯がありませんよ」と認知症の方にもわかりやすい表現で、やさしく伝えてくださいました。
結果はご家族の方にもご報告させていただきましたが、「そういえば、最近食欲がなかった原因はお口にあったのか!」と気づかれた方もいました。口腔ケアのマッサージなどをしていただいたおかげで、食欲も出てきて、食事もしっかり食べられるようになりました。
結果を踏まえて、歯医者さんに行くことを検討された方もいらっしゃいますし、相談会を行ったことは皆さんにとても喜んでいただきました。
年とともに年々歯茎も弱くなってきますし、入れ歯が合わないという方が意外に多いという印象を受けました。利用者様も入れ替わりがありますので、1年に一度は『お口の健康相談会』ができたらいいなと思います。
舌苔にはパイナップル!舌苔は舌の表面に食べ物のタンパク質などが固まってできた汚れです。食べたり話したりするときに舌が動くことで、ある程度は落ちますが、舌の動きが鈍くなり、唾液の分泌量も減る高齢者は、汚れが落ちにくくなります。食べかすや死んだ細菌なども付着して、舌苔は厚くたまっていきます。
舌苔は口臭の元になるので、きちんと掃除する必要がありますが、厚くたまった舌苔を舌クリーナーでゴシゴシこすると、舌の味蕾細胞を傷つけるおそれもあります。
厚い舌苔がついているときには、食後のフルーツにパイナップルを食べてみてください。パイナップルには「ブロメライン」というタンパク質分解酵素がたくさん含まれています。パイナップルを食べたときに舌がピリピリする感じになるのは、舌の表面についたタンパク質が取れるためで、この効果で舌苔を取ることもできるのです。
ただしパイナップルには、歯をとかす酸も含まれていますので、食後の歯みがきも大切です。舌クリーナーも活用して、舌をきれいに保ちましょう。
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