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- 2016.03
【居宅介護支援事業所あすなろ】(兵庫県)では、ケアマネジャー向けの勉強会を行い、訪問歯科の理解を深めました。そして、実際にご家族に提案したことで、ペースト食から普通食に、という利用者様のお口の状態の改善につながりました。
口腔ケアの重要性の理解をもっと深めていきたい
日本訪問歯科協会との出会いは、協会からいただいた1本の電話でした。
それまで、市内には訪問歯科診療をしてくれる先生はいないと思っていたので、「います」という情報に興味を持ちました。
その後、歯科の先生に来ていただき、ケアマネジャー向けの勉強
会を行いました。
そこで口腔ケアの必要性、訪問歯科が利用できるケースなどのお話を伺い、関心が高まりました。
その方は認知症の症状が若干あったものの、入院前は普通にお食事ができていたのですから、また普通食に戻せる可能性があるのではないかと思い、ご家族に訪問歯科の提案をしました。
ペースト食を作るのはご家族にとって手間がかかる大変なことですので、もしも良くなるならと、ご家族も理解を示しました。
そして、歯科医と内科医が連絡を取りながら訪問歯科を始め、口腔ケアやお口のマッサージなどを続けたところ、また元のように普通食を食べられるようになったのです。
先日はデイサービスのイベントで、鮎の塩焼きを食べたそうで、うれしい驚きでした。
ご家族からの要望もあり、今でも週1回、訪問歯科で口腔ケアを続けられています。
口腔ケアの勉強会でお話を聞いたからこそ、今回のケースと訪問歯科が結びつき、ご紹介したことで利用者様のお口の機能が回復したことを私もうれしく思います。 ケアマネも口腔ケアの知識を持つことが大切 訪問歯科は、まだ広く知られていないところがあります。
歯医者さんに行かなくても、訪問歯科で入れ歯の製作までできてしまうと聞いたときは、私も驚きました。
寝たきりの利用者様の場合、口腔ケアはどうしても優先順位として低くなります。私たちも以前は、訪問介護や看護、デイサービスのほうが重要だと思っていました。
でも、勉強会などでお話を聞くうちに重要性を理解し、ケアマネジャーもきちんと口腔ケアの知識を持つことが大切だと感じました。
どんなサービスでも、ご本人様やご家族の方に必要性を理解していただくことが大切です。
口腔ケアが嚥下機能の回復や誤嚥性肺炎予防に役立つことなどの理解をもっと深めるために、ケアマネジャーとしてこれからも提案していきたいと思います。
口内炎と口腔ケア口内炎は、唇、頬、舌、歯肉などの口腔内の粘膜に起きる炎症で、口の中の細菌が原因で起こります。口内炎を早く治すためには、口腔ケアで口の中を清潔にすることが大切です。
●歯磨きで清潔に
口の中に口内炎ができていると、痛さから歯磨きがおろそかになりがちです。
けれども、原因となる細菌を増やさないためにも、口内炎のときこそしっかり歯磨きをしましょう。
口内炎に当たらないように気をつけながらやさしく磨きます。
歯磨き粉に含まれる一部の成分が刺激となって口内炎を悪化させたり、治りが悪くなったりするという説もあるので、痛みがあるときには歯磨き粉を使わずにブラッシングだけで歯磨きをしてみるとよいでしょう。
歯磨き粉を使わなくても、しっかりブラッシングして唾液をたくさん出せば、口の中はきれいになります。
また、歯肉や粘膜の血行が良くなることで治りが早くなります。
●うがいで細菌を退治
なかなか治らない重症の口内炎では、うがい薬でうがいして、口全体の細菌を少なくすることも大切です。
「ぶくぶくうがい」をした後に、仕上げに「ガラガラうがい」をして、のどの細菌も退治することで、口内炎の治りが早くなります。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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