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- 2015.11
【社会福祉法人愛生会デイサービスセンター・アコードにわ・アコードにわ介護サービス】(愛知県)では、歯科医師による職員向けの勉強会と利用者様向けの講話を行ったことで、歯みがきの習慣がすっかり定着しました。
施設での歯みがき習慣を生活の中につなげたい
今から2〜3年前に、日本訪問歯科協会からお話をいただき、口腔ケアに関する職員向けの勉強会を行いました。
口腔ケアの大切さを知り、勉強会をきっかけに職員の意識が大きく変わりました。
それまで口腔ケアはほとんど取り入れていませんでしたが、嚥下体操を強化したり、食事を改良したり、嚥下機能に関する外部の勉強会にも参加するなど、施設ぐるみで取り組むようになりました。
勉強会後、間もなくして敬老会のイベントがあったのですが、そのプレゼントは普通の歯ブラシと義歯専用歯ブラシの2点にしました。普通の歯ブラシは握力の弱い方にも使いやすいように工夫されている物を用意しました。
義歯専用のデンチャーブラシは初めて見る方も多く、大変喜ばれていたので、今年も同じ物をプレゼントさせていただきました。
前回の勉強会の後に新しく入った職員もいますので、またやりたいと思っています。
利用者様も積極的に歯医者さんに質問 また、毎月1回、歯科医師に来ていただき、利用者様向けの講話も行っています。先生のお話を聞きながら、「歯磨き粉はつけた方がいいのか?」「入れ歯の洗浄剤は毎晩使った方がいいのか?」など、利用者様も積極的に質問しています。
皆さんが疑問に感じていることを、専門家から直接、的確な答えをいただけるのでありがたいです。
外部の方のお話はよい刺激になるようです。
初めての講話のとき、一番初めに質問したのが、日頃は人見知りで無口な方だったので、私たち職員にとっても新たな発見でした。
利用者様の中には、訪問歯科を受けている方もいます。歯医者に行きたくても通えず、何十年も入れ歯が合っていないという方もいらしたので、治療が受けられることを喜んでいます。 すっかり定着した食後の歯みがき習慣 職員も利用者様も意識が高まったことで、食事の後の歯みがき習慣も定着しました。
認知症の方も皆さんにつられて、自分で歯みがきに向かっています。
おやつを食べた後にも口をゆすいだり、気になる方は歯みがきをすることもあります。
お口から食事ができない方には、スポンジブラシを使ってきれいにしています。
口から食べていなくてもお口が汚れることも、勉強会をするまでは知りませんでした。
去年は施設内でインフルエンザは発生しませんでしたし、風邪でお休みする方も少なかったので、もしかしたら、口腔ケアを徹底したこととつながっているかもしれません。
うちは看護やリハビリなど何かに特化しているデイサービスではありませんが、来ていただくことで生活にメリハリが出ますし、歯みがきなどもここで習慣がついてリズムができ、おうちでもやっていただけるようになればと思い、引き続き口腔ケアに取り組んでいきたいと思います。
口臭と舌の汚れ口臭とは文字通り、吐く息から出される口の臭いのことですが、その正体は、口の中の細菌が口内粘膜のはがれた組織や食べかすなどを分解するときに発生する「揮発性硫黄化合物」という硫黄ガスです。
これらのガスの多くが、舌の上に付着する「舌苔」から発生していると言われています。
体の皮膚が古くなると垢となってはがれ落ちるように、口の中の粘膜や細胞もはがれ落ちて舌の表面のざらざらした部分にたまります。
通常は、食べたり話したりするときに舌が動くので、ある程度は落ちますが、舌の動きが鈍くなり、唾液の分泌量も減る高齢者では、汚れが落ちにくくなるため、たまりやすくなります。
たまった汚れに食べかすや死んだ細菌なども集まって「舌苔」という苔のような堆積物になります。
口臭の予防には、舌の掃除をすることが大切です。
1日1回を目安に、ガーゼや舌クリーナーなどで奥から舌先に汚れをかき出しましょう。
舌はやわらかく、傷つけてしまうと味覚障害を起こすこともありますので、強くこすりすぎないように注意して行います。
舌と接している上あごにも汚れがつきますので、上あごもやさしくこすります。
舌苔は歯の有無にかかわらずつきますので、歯のない人にも口腔ケアは必要なのです。
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