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- 2004.03
宮崎県立特別養護老人ホ一ム「みやぎき荘」では、当協会の歯科医師と協力し、この1年、口腔ケアに取り組んできました。効果を目の当たりにして重要性を実感し、意欲的に実践しています。
実践で感じた手応え。それが職員の励みになる
歯科医師の青山先生の指導によって、1年前、本格的に口腔ケアに取り始めました。以前は、私たちの認識も浅くあまり正しく理解していませんでした。しかし、実践してみると効果が如実に現れ、重要性を実感しています。
まずは利用者の肺炎が大幅に減ったこと。これまでは、利用者の方が病院へ入院されるときの原因の第1位は、誤嚥などによって起こる肺炎でした。ところが、この1年を撮り返ってみると誤嚥性肺炎による入院が一例もないのです。その背景に何があるのかと考えたとき、やはり口腔ケアを徹底して行うようになったことが大きく関わっているのだと思います。
また、食前の口腔マッサージも大きな効果をもたらしました。たとえば、ある女性の利用者で、口があまり開かず、飲み込みも悪い方がいらっしゃって、職員も食事介助に少し苦労していました。けれども、食事の前に5分間の口腔マッサージを行うようになってからは徐々に口が開くようになり飲み込みもスムーズになったのです。
いままでは、利用者の方が食事をスムーズに食べられなくなったときは細かく刻んだり、最終的に
は、ミキサーにかけたりしていました。それがあまりおいしそうではないことは職員もわかっていたものの、食事を食べていただくための具体的な手だてを他に知らなかったのです。
このように口腔ケアに改善効果の手応えを目の当たりにし、利用者の方の生活の質の向上にもつ
ながることを知ったことは、さらにしっかり取り組んでいこうという動機付けになりました。今、とてもよい流れができつつあると感じています。
当施設での口腔ケアの取り組みはようやく基礎段階が終わり次は知識や技術を深めていく段階だと考えています。来年度の計画にも口腔ケアはもちろん組み込んでいて、ステップアップのために職員も積極的に参加しに研究会に参加し、勉強していく予定です。居宅介護支援事業に携わるヘルパーさんにも少しずつ勉強していただくことも課題のひとつと考えています。今後も日本訪問歯科協会と連携をとりながら取り組みを続けていきたいと思います。
入れ歯と賢く付き合う方法「入れ歯がゆるくてはずれてしまう」「入れ歯が浮いて、噛むときにこすれて歯肉が痛い」「金具があたって痛い」など、入れ歯について悩みを抱えている人は多いようです。
合わない入れ歯の弊害合わない入れ歯を使い続けていると、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
①痛くて食べられない
不快感や痛みから、食べられなくなり、食べる楽しみを奪ってしまいます。
②体力・免疫力の低下
食べられなくなれば、エネルギー不足となり、体力が免疫力が低下します。
③口の機能が弱くなる
口を動かすことに苦痛を感じ、話したり食べたりしなくなると、口の機能が低下します。
入れ歯の定期健診を入れ歯は一生モノではありません。あごの骨や歯肉、歯の状態は生理的に変化するため、合わなくなって来ます。違和感を感じたら、歯科医に相談し、微調整を。また、不具合がなくても、半年から1年に一度の定期検診をおすすめします。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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