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- 2014.09
【デイサービス夢野】(愛知県)では、今回、初めて『お口の健康相談会』を実施しました。相談会を通して改めて気づかされることも多く、利用者様、ご家族の方、そしてスタッフも、口腔ケアに対する意識が前向きになりました。
口腔ケアに対するみんなの意識が前向きに
スタッフも利用者様も相談会から新たな気づきが!
デイサービスに来られる利用者様は、自分で歯医者さんに行けない方がほとんどで、入れ歯がぐらついていたり、むし歯があったりしても、利用者様からご家族や私たちに訴えかけてくることはあまり多くはありません。
ですから、『お口の健康相談会』で歯医者さんがこちらに来てお口を見てくださり、利用者様の状態を把握できたことは、利用者様、ご家族、そして私たちにとっても非常に有意義でした。来ていただいた先生もやさしくて、利用者様からの評判もとてもよかったです。
ある利用者様は歯が1本もなく、入れ歯もしていなかったので、これまで、うがいと指で歯茎の掃除をしていたそうです。今回、『相談会』で舌苔を指摘され、舌の掃除の必要性とやり方を先生に教えていただいたことは、利用者様はもちろん、ご家族の方も自分たちのケアのために参考になったとおっしゃっていました。
また、食後の口腔ケアは基本的にご自身でやっていただくのですが、『相談会』で利用者様のお口の現状を知ったことで、「こういう磨き方をしたほうがいいですよ」と説明をしたり、お口の中や義歯の状態を見せていただくように心がけるなど、私たちスタッフの口腔ケアの取り組みの意識が変わり、前向きな気持ちになれました。(石原さん) ご家族の方もこの機会を望んでいたことを実感
今回の『お口の健康相談会』は、看護師がかなり積極的に取り組み、利用者様の大半に参加していただけました。
ご家族の方も喜んでくださり、歯医者さんに連れて行きたくてもなかなか連れて行くことができないので、こういう機会を待っていたということがよくわかりました。そのことを先生に伝えたら、すぐに動いてくださいました。利用者様やご家族も、自宅に歯医者さんが来てくれる訪問歯科診療があることを知り、ありがたいと言っていました。
また、『相談会』後は利用者様の意識も変わりました。食後にご本人が口腔ケアをされた後、汚れが残っていないか、スタッフが確認させていただくのですが、以前と比べると磨き残しや洗い残しが少なくなったように思います。
私たちも日本訪問歯科協会が定期的に届けてくれる口腔ケアのポスターなども活用させていただきながら、口腔ケアに取り組んでいます。スタッフの意識が高まり、口腔ケアの大切さを改めて認識しました。より一層努力していきたいと同時に、見守っていきたいと思います。(簗瀬さん)
お口を開けてくれない人の口腔ケア 2お口を開けてくれない場合は、原因を見極め、対処することが大切です。
●口を開けられない
〈原因〉何らかの不具合があり、機能的に開けることができない。顎関節症/口腔内の潰瘍や腫瘍/外傷/意識障害 など
〈対処法〉歯科や口腔外科の医師の指示を仰ぐ/痛みを和らげる など
●口を開けたくない
〈原因〉機能的に開けることはできるが、心理的な問題で開けたくない。口を開けるのが恥ずかしい/口臭が気になる/不安や不緊張/ケアする人への不信感 など
〈対処法〉本人の気持ちに寄り添い共感する/生活習慣や嗜好を把握する/笑顔で言葉をかける/苦痛を感じるケアは避ける など
●どうしたらいいのかわからない
〈原因〉認知症などにより、認知機能そのものに問題がある。言われていることが理解できなくて不安/なにをしたらいいのかよくわからない など
〈対処法〉わかりやすい言葉で説明する/表情やジェスチャーなどで伝える/あいさつからはじめ、ケアする人に少しずつ慣れてもらう など
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